無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜
「そっか、なら仕方ないわね。まあ和泉とも相談して」
リナちゃんは和泉くんのことが気に入らないのか、和泉くんの名前を出すときにあからさまに嫌そうな顔をする。
それに苦笑いを返しながら、私はわくわくした気持ちだった。
もしマネージャーになることを考えてるって言ったら、和泉くんはなんていうかな……。
喜んでくれると、いいなっ……。
* * * *
今日の図書館は、慌ただしかった。
夏休みに借りていた本を返却する人が多く、忙しなく処理に追われていた。
18時になり、利用者がいなくなったのを確認してふぅ……と息を吐いた。
凄く忙しくてびっくりしちゃった……。
でも、たくさんの人が図書室を利用してくれるのは嬉しい。
本が好きだから、同じものを好きでいてくれる人がいるのはそれだけで幸せだ。
下校時間まであと30分。それまでに片付けを済まさないとっ……。
返却本を直し、今日の記録を書く。
急いで後片付けをしていると、図書室の扉が開いた。
あれ……利用者の人かな……?
「……よかった、まだいた……」
えっ……?
よく知る声に視線を移すと、図書室に入ってきたその声の主。