離婚するので、どうぞお構いなく~冷徹御曹司が激甘パパになるまで~
「そうか。無理しなくていいが、会いに来てくれたら色んな場所を案内する。もちろん、俺も年末年始は会いに帰るから」
「はい、楽しみにしてます」
「小鞠、ママの言うことちゃんと聞いて過ごすんだぞ」
黎人さんの言葉を、小鞠はご飯に夢中で完全に無視している。
相変わらず食欲旺盛な娘だ……。
仁さんはそんな私たちを見て、なぜか微笑ましそうな表情をしている。
かと思いきや、いきなり爆弾みたいな冗談を投下してきた。
「兄さん安心して。俺が花音ちゃんと小鞠のパパになるからさ」
「仁、黙って食事ができないのか。あとお前もアメリカに行くだろ」
「うわー、目がマジじゃん。怖ー」
また始まった……と思いながら、私は何度目かの苦笑を浮かべた。
二人がいない間は、他の親族の方が日本での仕事を任されている。
黎人さんの会社の社員さんは、彼が一年間席を空けることに相当絶望しており、「行かないでほしい」と散々止められたらしいけれど……。
それでも、最終的には会社のためだと、何とか納得してもらったらしい。
新しい仕事を前に、黎人さんはとてもワクワクしているのを感じる。
私も、そんな黎人さんを横で見守ることができて幸せだ。あと少しの間だけど。
その後は、海外出張に関する他愛もない会話をして、小鞠のイヤイヤに付き合っていたら、あっという間に時間が過ぎていった。
仁さんは二時間ほどで「じゃあそろそろお暇するよ」と言って席を立つ。
「もっとゆっくりしてくださったらいいのに……」
「花音さんとの大事な時間、これ以上奪ったら怒られそうだからね。じゃあまた。兄さん、次会うときはアメリカだね」
「ああ、また連絡する」
「小鞠ちゃん、いい子にしてるんだぞー。あ、そうだこれあげる」
ドアノブに手をかけたその瞬間、何かを思い出したように仁さんがバッグからあるものを取り出す。それは、ラッピングされた一輪の秋桜だった。
「いつもお世話になってるお花屋さんの前通ったら、もらってさ。小鞠ちゃんにあげる」
小鞠は花を受け取ると、不思議そうに首を傾げる。
「仁たん、これ何?」
「秋桜だよ」
「こちゅもちゅ…?」
「ふふ。そうだよ。じゃあ、今度こそまたね」
そう言って、仁さんはバタンとドアを閉めた。
太陽みたいに明るい仁さんがいなくなると、一気に部屋の中が静かになる。
「はい、楽しみにしてます」
「小鞠、ママの言うことちゃんと聞いて過ごすんだぞ」
黎人さんの言葉を、小鞠はご飯に夢中で完全に無視している。
相変わらず食欲旺盛な娘だ……。
仁さんはそんな私たちを見て、なぜか微笑ましそうな表情をしている。
かと思いきや、いきなり爆弾みたいな冗談を投下してきた。
「兄さん安心して。俺が花音ちゃんと小鞠のパパになるからさ」
「仁、黙って食事ができないのか。あとお前もアメリカに行くだろ」
「うわー、目がマジじゃん。怖ー」
また始まった……と思いながら、私は何度目かの苦笑を浮かべた。
二人がいない間は、他の親族の方が日本での仕事を任されている。
黎人さんの会社の社員さんは、彼が一年間席を空けることに相当絶望しており、「行かないでほしい」と散々止められたらしいけれど……。
それでも、最終的には会社のためだと、何とか納得してもらったらしい。
新しい仕事を前に、黎人さんはとてもワクワクしているのを感じる。
私も、そんな黎人さんを横で見守ることができて幸せだ。あと少しの間だけど。
その後は、海外出張に関する他愛もない会話をして、小鞠のイヤイヤに付き合っていたら、あっという間に時間が過ぎていった。
仁さんは二時間ほどで「じゃあそろそろお暇するよ」と言って席を立つ。
「もっとゆっくりしてくださったらいいのに……」
「花音さんとの大事な時間、これ以上奪ったら怒られそうだからね。じゃあまた。兄さん、次会うときはアメリカだね」
「ああ、また連絡する」
「小鞠ちゃん、いい子にしてるんだぞー。あ、そうだこれあげる」
ドアノブに手をかけたその瞬間、何かを思い出したように仁さんがバッグからあるものを取り出す。それは、ラッピングされた一輪の秋桜だった。
「いつもお世話になってるお花屋さんの前通ったら、もらってさ。小鞠ちゃんにあげる」
小鞠は花を受け取ると、不思議そうに首を傾げる。
「仁たん、これ何?」
「秋桜だよ」
「こちゅもちゅ…?」
「ふふ。そうだよ。じゃあ、今度こそまたね」
そう言って、仁さんはバタンとドアを閉めた。
太陽みたいに明るい仁さんがいなくなると、一気に部屋の中が静かになる。