離婚するので、どうぞお構いなく~冷徹御曹司が激甘パパになるまで~
だって私たち葉山家は、今簡単に彼が指先で折った花に、心血を注いで来たのだから。
私は許可を取らずに障子をいきなり開けると、淡々と言葉を連ねた。
「失礼します。慶介さんがいらっしゃっているとお聞きし、ぜひご挨拶をさせて頂きたいと思いうかがいました。葉山花音です」
「おっ、驚いたな。会うのは結婚式以来か」
「ご無沙汰しております」
二人で話したいので席を外してくれますか、と社員にそっと伝えると、私は慶介さんと向かい合うように座った。
何かを察した社員さんは申し訳なさそうな顔で一礼すると、そっと応接室から出ていく。
慶介さんはなぜか上機嫌になっていて、私の顔をじっと見つめると、仕事とは全く関係ない発言をした。
「いやー、結婚式でお見かけした時も思っていましたが、間近で見るとさらにお美しい」
細い目をさらに細めて、突然容姿を褒める慶介さんに、私はますます不信感を抱く。
適当に話を流して、私はとても無理のある見積書の赤字を見て、物申そうとした。
「恐れ入りますが三鷹様、こちらの件、しばしお預かりさせて頂けませんでしょうか。質を落とさずもう少しコストを下げられるよう検討してみますので」
「あー、いいよいいよ。価格のことはちょっと言ってみただけだから」
「……え?」
「それより、新婚なのに旦那さんは海外で、毎日寂しいんじゃないですか?」
私の提案を一蹴して、慶介さんはまた話の方向性を無理やり変えてくる。
「言ってみただけ」ということは、さっきまでうちの社員を詰めていたのは、いった何だったのか。ただのいびり、だったとでも言うのだろうか。
机の上に転がっている折れ曲がった花を見たら、悔しくて涙が出そうになった。
それを見て何を勘違いしたのか、慶介さんはなぜか私の隣まで移動してきて、あろうことか肩を抱いた。
「美人にそんなに寂しそうな顔をされたら、放っておけませんよ」
「何を……言ってるんですか」
この人は、私のことを舐めている。下に見ている。だからこんなことができるんだ。
信じられない気持ちで彼を睨みながら、回された腕を外そうとする。けれど、予想以上に強い力で外れない。
「アイツはまだ帰ってこない。安心してください――……」
怒りに任せ思い切りビンタをしようとしたその時、スラッと勢いよくふすまが開いた。
私は許可を取らずに障子をいきなり開けると、淡々と言葉を連ねた。
「失礼します。慶介さんがいらっしゃっているとお聞きし、ぜひご挨拶をさせて頂きたいと思いうかがいました。葉山花音です」
「おっ、驚いたな。会うのは結婚式以来か」
「ご無沙汰しております」
二人で話したいので席を外してくれますか、と社員にそっと伝えると、私は慶介さんと向かい合うように座った。
何かを察した社員さんは申し訳なさそうな顔で一礼すると、そっと応接室から出ていく。
慶介さんはなぜか上機嫌になっていて、私の顔をじっと見つめると、仕事とは全く関係ない発言をした。
「いやー、結婚式でお見かけした時も思っていましたが、間近で見るとさらにお美しい」
細い目をさらに細めて、突然容姿を褒める慶介さんに、私はますます不信感を抱く。
適当に話を流して、私はとても無理のある見積書の赤字を見て、物申そうとした。
「恐れ入りますが三鷹様、こちらの件、しばしお預かりさせて頂けませんでしょうか。質を落とさずもう少しコストを下げられるよう検討してみますので」
「あー、いいよいいよ。価格のことはちょっと言ってみただけだから」
「……え?」
「それより、新婚なのに旦那さんは海外で、毎日寂しいんじゃないですか?」
私の提案を一蹴して、慶介さんはまた話の方向性を無理やり変えてくる。
「言ってみただけ」ということは、さっきまでうちの社員を詰めていたのは、いった何だったのか。ただのいびり、だったとでも言うのだろうか。
机の上に転がっている折れ曲がった花を見たら、悔しくて涙が出そうになった。
それを見て何を勘違いしたのか、慶介さんはなぜか私の隣まで移動してきて、あろうことか肩を抱いた。
「美人にそんなに寂しそうな顔をされたら、放っておけませんよ」
「何を……言ってるんですか」
この人は、私のことを舐めている。下に見ている。だからこんなことができるんだ。
信じられない気持ちで彼を睨みながら、回された腕を外そうとする。けれど、予想以上に強い力で外れない。
「アイツはまだ帰ってこない。安心してください――……」
怒りに任せ思い切りビンタをしようとしたその時、スラッと勢いよくふすまが開いた。