離婚するので、どうぞお構いなく~冷徹御曹司が激甘パパになるまで~
三鷹家のお手伝いさんが、小鞠の荷物が入った大きなバッグを受け取ってくれた。
ありがたいことに、もう七割方の作業が終わっている様子だった。
「それでは、何かございましたらいつでもご連絡くださいませ」
そうして、あっという間に生活ができるくらい環境が整うと、業者さんとお手伝いさんたちは帰っていったのだ。
「諸々のお手配、ありがとうございます……」
「家事代行はいつでも呼べばいい。小鞠も、機嫌がよくて偉かったな」
一応お礼だけ伝えると、黎人さんはソファに腰掛けながら、小鞠に向けて優しくそう言い放った。
小鞠がそんな彼によちよちと歩み寄り、「まんま」と服を引っ張る。
相変わらずご飯のことしか頭にない食欲旺盛な娘を、私は後ろから抱きかかえ、黎人さんから離した。
「すみません、今この子に食べさせますから……」
「一緒に飯でも食べるか、まずは」
「え……」
結婚当初は、いつも外食ばかりで、家で一緒にご飯なんて食べたことがなかった。本当に、ただのルームメイトのような距離感だったから。
私は驚きながらも、とりあえず「はい」と頷く。じつは今朝から何も食べていなくてお腹が減っていた。
小鞠のご飯はお弁当にして持ってきたから、電子レンジで温めて出そう。そう思ってバッグを漁ったけれど、いくら探してもお弁当が出てこない。
「あっ……!」
「何だ、どうした?」
「お弁当、作ってそのまま机の上に忘れてきました……」
なんてことだ。他の荷物チェックに気を取られて、肝心なものを忘れていた。
冷蔵庫には何もないだろうし、今からスーパーまで行くしかない。調理器具は一通りあるようだけど、でも、今から何かを作る気力は正直沸いてこない。
色んな事に絶望しきっていると、黎人さんがサッとキッチンに向かって、突然冷蔵庫を開けた。
「これ、小鞠は食べられるか」
「え……?」
「念のため買っておいた」
冷蔵庫を開けてびっくり。レトルトの離乳食がたくさん入っていた。
しかも、私が忙しいときに普段使いしているブランドの離乳食だった。
「これ、黎人さんが買ってきてくれたんですか……?」
「売り場で商品をひたすら睨みつけている、不審な人間になってただろうな」
少し気まずそうに言い放つ黎人さんに、思わず笑ってしまいそうになった。
ありがたいことに、もう七割方の作業が終わっている様子だった。
「それでは、何かございましたらいつでもご連絡くださいませ」
そうして、あっという間に生活ができるくらい環境が整うと、業者さんとお手伝いさんたちは帰っていったのだ。
「諸々のお手配、ありがとうございます……」
「家事代行はいつでも呼べばいい。小鞠も、機嫌がよくて偉かったな」
一応お礼だけ伝えると、黎人さんはソファに腰掛けながら、小鞠に向けて優しくそう言い放った。
小鞠がそんな彼によちよちと歩み寄り、「まんま」と服を引っ張る。
相変わらずご飯のことしか頭にない食欲旺盛な娘を、私は後ろから抱きかかえ、黎人さんから離した。
「すみません、今この子に食べさせますから……」
「一緒に飯でも食べるか、まずは」
「え……」
結婚当初は、いつも外食ばかりで、家で一緒にご飯なんて食べたことがなかった。本当に、ただのルームメイトのような距離感だったから。
私は驚きながらも、とりあえず「はい」と頷く。じつは今朝から何も食べていなくてお腹が減っていた。
小鞠のご飯はお弁当にして持ってきたから、電子レンジで温めて出そう。そう思ってバッグを漁ったけれど、いくら探してもお弁当が出てこない。
「あっ……!」
「何だ、どうした?」
「お弁当、作ってそのまま机の上に忘れてきました……」
なんてことだ。他の荷物チェックに気を取られて、肝心なものを忘れていた。
冷蔵庫には何もないだろうし、今からスーパーまで行くしかない。調理器具は一通りあるようだけど、でも、今から何かを作る気力は正直沸いてこない。
色んな事に絶望しきっていると、黎人さんがサッとキッチンに向かって、突然冷蔵庫を開けた。
「これ、小鞠は食べられるか」
「え……?」
「念のため買っておいた」
冷蔵庫を開けてびっくり。レトルトの離乳食がたくさん入っていた。
しかも、私が忙しいときに普段使いしているブランドの離乳食だった。
「これ、黎人さんが買ってきてくれたんですか……?」
「売り場で商品をひたすら睨みつけている、不審な人間になってただろうな」
少し気まずそうに言い放つ黎人さんに、思わず笑ってしまいそうになった。