離婚するので、どうぞお構いなく~冷徹御曹司が激甘パパになるまで~
やはり本題は別にあったようだ。
「いや、花音さんに謝らないとなと思っていて……」
「え? 謝るって、私にですか……?」
「うん。もう、兄さんが海外長期出張する話は聞いたでしょ? あれ、俺が誘った仕事だったからさ」
海外、長期出張……?
頭の上に疑問符を浮かべて首を傾げていると、仁さんは一変して物凄く焦った表情になる。
「えっ、もしかしてまだ聞いてなかった!?」
「はい……。黎人さん、また海外でお仕事するんですね」
「いや、まだ可能性の段階で、兄さんも花音さんに相談してから決めるって言ってたから、確定じゃないけど」
「私に相談して……?」
そんな話は、まだ一度も聞いていない。
ということは、黎人さん的に言い出しづらくてまだタイミングを伺っている段階だったのだろうか。
冷静な私とは反対に、仁さんは慌てふためいている。
「いや、兄さんもかなり迷っててさ。でも、小鞠ちゃんもまだ小さいし、また離れ離れになっちゃうのはよくないよね。ごめん……」
「そんな……」
「まだ未定とはいえ、勝手に話進めて、許せないよね。ほんと申し訳ない……」
明らかにしゅんとしている仁さん。
今日謝ろうと思った理由は、企画を持ち出したのは自分からだったから、のようだ。
さっきも小鞠の子育てがどれだけハプニングの連続かを話していたので、余計に責任を感じているんだろう。
きっとその責任感は、黎人さんもこの数日強く感じていたに違いない。
ふつふつと、怒りの感情が私の中に溢れ出てくる。
そんなことをされたら、私は――。
「許せないです……」
ぎりぎり聞き取れるくらいの声で、私は一言つぶやく。
仁さんは申し訳なさそうに私の顔を見つめている。
「許せないです。そんなことでここ数日、黎人さんにぐじぐじ悩まれていただなんて。黎人さんがやりたいと思う仕事を取る、その一択しかありません」
「へ……?」
「仁さん、私たちは普通の夫婦ではないんです。最初から、お互いに仕事が第一だと確認しあって、合意の上で結婚しました。政略結婚は承知の上だったのに、何を今さら迷っているんでしょうか」
もちろん、小鞠のことを思うと、父親と会う時間を減らしてしまうのは可哀想に思う。
だけど、きっと、海外でも絆を感じられるような関係を保つ方法は、今の時代探せば色んな方法があるはずだ。
「いや、花音さんに謝らないとなと思っていて……」
「え? 謝るって、私にですか……?」
「うん。もう、兄さんが海外長期出張する話は聞いたでしょ? あれ、俺が誘った仕事だったからさ」
海外、長期出張……?
頭の上に疑問符を浮かべて首を傾げていると、仁さんは一変して物凄く焦った表情になる。
「えっ、もしかしてまだ聞いてなかった!?」
「はい……。黎人さん、また海外でお仕事するんですね」
「いや、まだ可能性の段階で、兄さんも花音さんに相談してから決めるって言ってたから、確定じゃないけど」
「私に相談して……?」
そんな話は、まだ一度も聞いていない。
ということは、黎人さん的に言い出しづらくてまだタイミングを伺っている段階だったのだろうか。
冷静な私とは反対に、仁さんは慌てふためいている。
「いや、兄さんもかなり迷っててさ。でも、小鞠ちゃんもまだ小さいし、また離れ離れになっちゃうのはよくないよね。ごめん……」
「そんな……」
「まだ未定とはいえ、勝手に話進めて、許せないよね。ほんと申し訳ない……」
明らかにしゅんとしている仁さん。
今日謝ろうと思った理由は、企画を持ち出したのは自分からだったから、のようだ。
さっきも小鞠の子育てがどれだけハプニングの連続かを話していたので、余計に責任を感じているんだろう。
きっとその責任感は、黎人さんもこの数日強く感じていたに違いない。
ふつふつと、怒りの感情が私の中に溢れ出てくる。
そんなことをされたら、私は――。
「許せないです……」
ぎりぎり聞き取れるくらいの声で、私は一言つぶやく。
仁さんは申し訳なさそうに私の顔を見つめている。
「許せないです。そんなことでここ数日、黎人さんにぐじぐじ悩まれていただなんて。黎人さんがやりたいと思う仕事を取る、その一択しかありません」
「へ……?」
「仁さん、私たちは普通の夫婦ではないんです。最初から、お互いに仕事が第一だと確認しあって、合意の上で結婚しました。政略結婚は承知の上だったのに、何を今さら迷っているんでしょうか」
もちろん、小鞠のことを思うと、父親と会う時間を減らしてしまうのは可哀想に思う。
だけど、きっと、海外でも絆を感じられるような関係を保つ方法は、今の時代探せば色んな方法があるはずだ。