俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
「はぁ」
奈々は何度目かわからないため息をついて、手に持っていた妊娠検査薬をゴミ箱へ捨てた。
子供がほしいと思って妊活を初めて早一年。
過敏になっているのか、毎回いつもより生理が遅れているのではと思い妊娠検査薬を購入。そして試すも、検査薬の小窓には一向にしるしは表れない。
もっと落ち着かないといけないことは自覚している。けれどはやる気持ちは抑えられない。
その後生理が来るたびに思い出してしまう。
祐吾と結婚するきっかけになった、妊娠と流産のことだ。
こんなに頑張ってもできないのに、なぜあのときはできてしまったのか。結果、流産してしまったけれど、あのときの喜びと悲しみは今でも忘れることはない。
しばらく体の繋がりも怖くて避けていたが、祐吾のあたたかい愛に包まれて、自然と行為もできるようになっていった。
二人の生活も楽しく、何の不満もない。
だからこそ、次は子供がほしいと二人は望んだ。奈々も、妊娠する心の準備はできていた。
なのに……。
しくしくと痛む下腹を忌々しく思う。
今月も生理がきてしまったからだ。