俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
初めての飛行機、初めての海外旅行がニューヨークという奈々は緊張でガチガチに固まっていた。飛行機の中でもガイドブックを熟読である。

「14時間も飛行機の中とか、信じられない。まさか本当に海外に行くなんて」

「ねー、今回ちょっと贅沢しちゃったよね。ま、こういう楽しみもなくちゃやってられないわよ。連休終わったらまた働いてお金貯めなくちゃ」

「本当そうだよね」

お互いまだ実家暮らしなため、無駄遣いさえしなければ毎月少しずつ貯金ができている。派遣社員は時給であるため働いた分だけ給料に反映されるのだ。

「ま、仕事のことは忘れて楽しもっ」

「ガイドブックで勉強しとく」

「奈々ったら本当に真面目なんだから」

「だって初めての海外なんだもん。何があるかわからないじゃない。英語だってできないし」

「そうかもだけど、ツアーだから大丈夫でしょ」

「もう~、朋ちゃんったら呑気だなぁ」

朋子は明るく笑い、奈々もつられて笑顔になった。

飛行機の小さな窓から見える空。
そこは知っているようで知らない空の世界。
雲と太陽が織り成す幻想的な風景に、奈々はほうっとため息をついた。

< 2 / 111 >

この作品をシェア

pagetop