俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
奈々の疑いをよそに、倉瀬は腕組みをして考え始めている。
確かに奈々は日頃からアクセサリーを身に付けていない。ピアスの穴すら開けたことがなく、ネックレスさえ肩が凝るという理由で着けない。
そんな理由ではあったが、ちゃんと自分のことを気にして見てくれているのだと思うと、奈々は嬉しくて心がほわほわとあったかくなった。
「確かに、アクセサリーはいらないです。あまり好きじゃないし。クッキーの方がいいかな」
「クッキーってお前、小学生じゃあるまいし」
明らかに不満顔の倉瀬に、奈々は可笑しくて笑ってしまった。
クッキーなら安上がりなのに、高くてもいいからちゃんと欲しいものを言えと倉瀬は言う。そう言われても、プレゼントを貰い慣れていない奈々は困ってしまう。
(クッキー好きなんだけどなぁ。それに今はこれといって欲しいものないし……)
うーんうーんと悩んだ末、閃いた。
「そうだ!私、焼肉食べたいです!」
「焼肉?」
「焼肉奢ってください!」
「モノじゃねーのかよ!食い気かよ!」
倉瀬のツッコミもどこ吹く風の奈々は、自分の提案に目をキラキラさせながら微笑んだ。