俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
「俺もこれを言ったら奈々に嫌われるかもな」
「……?」
「今までの女は全て遊びだ。誰一人本気になったヤツなんていないしちゃんと付き合ったこともない。もちろん家に上げたこともない。本気で好きになったのは奈々、お前だけだ。好きだと抱きしめてキスをするだけじゃ物足りないなら、何度でもしてやる。お前が信用してくれるまで、何度だって言ってやるよ」
倉瀬の真剣な眼差しと言葉に奈々は息をすることも忘れて口元を手で覆う。
「奈々が好きだ。愛しすぎてたまらない。俺は奈々の全てがほしい。ダメか?」
いつもの倉瀬よりも何倍も甘く優しい口調に、奈々の頬は次第にピンクに染まっていく。
潤んだ瞳で見つめられた倉瀬は奈々にそっと口付けた。抵抗なくすっと受け入れられたことを実感すると、そのままベッドへ優しく押し倒していく。
確認のため奈々を見やると、潤んだ瞳が何か言いたげに揺れた。
「嫌か?」
「ううん。倉瀬さん……んっ」
倉瀬はまたひとつ、口付けをしてから言う。
「そろそろ名前で呼んでくれよ」
「……祐吾さん」
少しハニカミながら奈々が名前を呼ぶと、倉瀬は満足そうに目尻を下げた。名前を呼ぶことすら遠慮していたのではと勘ぐったが、もうそんなことはどうでもよかった。
今、目の前の奈々が、ちゃんと名前で呼んでくれたのだから。
「祐吾さん好きです。好きすぎてどうにかなってしまいそう」
「ああ。奈々、愛してる」
二人は愛を囁きながら、次第にシーツの波にのまれていった。
重ねられた手はお互いの存在を確かめるかのように。お互いの不安を消し去るように。
たくさんたくさんキスをして。
安心させるように優しくゆっくりと。
それはとても甘くて蕩けてしまいそうで。
何度も何度も深く愛し合った。