俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
それぞれの想い
年度末、人事異動が発表された。祐吾は昇格して別の部署へ異動になった。異動といっても同じビル内にはいるわけで、奈々は全然大丈夫だと思っていた。
四月、いつもの席に祐吾がいない。ただそれだけのことなのに、奈々は急に寂しい気持ちでいっぱいになった。
(祐吾さんがいない)
祐吾の座っていた席はまだ空いたまま。それ以外は変わりなくいつもの職場だ。
公私混同はしない。それは当然のこと。だけどやっぱりあの席に座っててほしかったな、声が聞きたかったな、などと思ってしまう。
いつも通り仕事をこなしていつも通り帰宅する。同じ会社にいるのに、奈々と祐吾は今日もまったく会うことはなかった。部署が異動しただけなのに姿さえも見ない。それはやはり寂しいことである。
(きっと祐吾さんのことだから毎日遅くまで仕事をしているんだわ)
それがわかっているから、奈々は電話もメールもあまりしないようにしていた。
祐吾の邪魔になってはいけない。頑張っている祐吾の邪魔をしたくない。週末になれば会えるのだから、大丈夫。そう自分に言い聞かせて、奈々も仕事に励んだ。
そんな折、すれ違い様に聞こえてきてしまった。
「さっきの人、たぶん倉瀬さんの彼女だよ」
「えー、あの人って確か派遣だよね?ガチで玉の輿?勝ち組じゃん!」
「どうやって落としたんだろ?羨ましい~!」
付き合っていることを誰かに話したことはないし、当然祐吾の性格からしても誰かに言うことはないだろう。
二人でいるところを、どこかで見られたのだろうか。とは言っても、いい大人なので交際していることを隠すことではないし、かといって自ら公表することでもない。
それよりも、”派遣だよね”と言われたことの方が奈々の心に深く突き刺さった。
四月、いつもの席に祐吾がいない。ただそれだけのことなのに、奈々は急に寂しい気持ちでいっぱいになった。
(祐吾さんがいない)
祐吾の座っていた席はまだ空いたまま。それ以外は変わりなくいつもの職場だ。
公私混同はしない。それは当然のこと。だけどやっぱりあの席に座っててほしかったな、声が聞きたかったな、などと思ってしまう。
いつも通り仕事をこなしていつも通り帰宅する。同じ会社にいるのに、奈々と祐吾は今日もまったく会うことはなかった。部署が異動しただけなのに姿さえも見ない。それはやはり寂しいことである。
(きっと祐吾さんのことだから毎日遅くまで仕事をしているんだわ)
それがわかっているから、奈々は電話もメールもあまりしないようにしていた。
祐吾の邪魔になってはいけない。頑張っている祐吾の邪魔をしたくない。週末になれば会えるのだから、大丈夫。そう自分に言い聞かせて、奈々も仕事に励んだ。
そんな折、すれ違い様に聞こえてきてしまった。
「さっきの人、たぶん倉瀬さんの彼女だよ」
「えー、あの人って確か派遣だよね?ガチで玉の輿?勝ち組じゃん!」
「どうやって落としたんだろ?羨ましい~!」
付き合っていることを誰かに話したことはないし、当然祐吾の性格からしても誰かに言うことはないだろう。
二人でいるところを、どこかで見られたのだろうか。とは言っても、いい大人なので交際していることを隠すことではないし、かといって自ら公表することでもない。
それよりも、”派遣だよね”と言われたことの方が奈々の心に深く突き刺さった。