俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい

「俺はただの会社員だ。金持ちなのは俺の親父だ。息子の俺はその恩恵を受けているに過ぎない。マンションも、家を出ると行った俺に過保護な両親が買い与えたものだ。若い頃に遊び歩いた金は全て親の金だ。外食ばかりなのは料理がまったくできないからだし、カード払いなのはただ単に便利だからだ」

黙って聞いている奈々の顔は、頷きはするものの、まだ納得がいっていないようだった。
そんな奈々の頭を、祐吾はくしゃくしゃっと撫でる。

「お前はもっと自分に自信を持て。この環境がお前を育てた。それを俺が好きになった。それだけのこと。何か文句あるか?」

文句なんてあるわけがない。
奈々はふるふると首を振って否定する。

いつも奈々のことをちゃんと見ている祐吾の嘘偽りのない真っ直ぐな瞳が奈々をドキドキさせる。好きだと言ってくれる、その気持ちに応えたい。

奈々は、隣を歩く祐吾の手をそっと握った。祐吾は何の躊躇いもなくぎゅっと握り返してくる。祐吾の大きな手に包まれて、心が苦しいほどに締めつけられた。

「祐吾さん、今日は来てくれてありがとう」

「ああ」

「大好き」

初めて心から言えた気がした。

いつしか空には花火が上がって、夜空をキラキラ輝かせていた。

二人は少し小高い神社の境内から、それを眺める。
手を繋いで、腕を絡めて、寄り添うように。

「綺麗だね」

奈々がそう呟くと、返事の代わりに優しいキスが降ってきた。
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