俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
共に歩む未来
祐吾がニューヨークに行ってから、早五ヶ月が経とうとしていた。あんなに暑かった太陽も季節が移り変わり、今は肌寒い気候をもたらす。

その間、二人は幾度となく国際電話で連絡を取り合っていた。

「奈々、今度一時帰国する」

「本当?」

嬉しくて声が上ずってしまう。
クリスマスからお正月まで連休を取るので、その間に一時帰国するとのことだった。

「私も有休取っちゃおうかな?」

奈々は今年あまり使っていなかった有給休暇を確認しながら、今こそ使うべきだと思った。祐吾には「無理するなよ」と言われたが、少しでも祐吾と一緒にいたい気持ちが勝る。

(それに、久しぶりに会うんだから。それくらい、いいでしょ?)

祐吾に会えることを考えると自然と顔がほころぶ。

空港まで行くと言えば、寒いからマンションで待っていろと言う。そんな不器用な優しさが祐吾らしくて奈々は嬉しくなった。

奈々は祐吾が旅立つ前に貰ったマンションの合鍵を初めて使う。やはり一人では祐吾のいないマンションへ足が向くことはなかった。祐吾がいた頃は何度も訪れていたマンションなのに、一人で鍵を使って入るという行為にドキドキしてしまう。

久しぶりに入るマンションは冷たく冷えていた。
窓を開けて空気を入れ替える。
冬の冷たい空気がすっと流れ、止まっていた時間が動き出したようだった。

簡単に掃除をして、祐吾が帰ってくるまでに料理をする。クリスマスだから洋食にしようかと考えていたが、「奈々の作る惣菜が食べたい」とリクエストされたので、イベント事とは全くかけ離れた和食が食卓に並ぶことになった。
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