俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
祐吾は仕事を放り出して、奈々を無理矢理自分のマンションへ連れ帰った。
ずっと青白く震えている奈々の手を引き、とりあえずソファへ座らせる。何か飲むかと聞いても、奈々は静かに首を横に振るだけだ。
「どうしたんだ?そんなに体調が悪いのか?今からでも病院に?」
「……」
奈々は口を結んだまま何も答えない。困った祐吾は奈々の手を取ってそっと包んだ。
奈々は俯いて祐吾と目を合わそうとしない。
「奈々、何を隠している?」
核心を突いたその言葉に奈々はビクッと反応した。かと思うと、じわりじわりと涙が滲み、それはやがて瞳いっぱいにたまって視界をぼやけさせた。だが、奈々は唇をぎゅっと噛み何も話そうとはしない。
祐吾は奈々の両手を握り直した。そしてゆっくりと、懇願するように訴えかける。
「奈々の体が大事だから、ちゃんと言ってくれ。じゃないと心配で仕方ない」
奈々が何か大きな病気を患っているのではないか、そんな疑いが祐吾の頭をちらつかせる。それだったら総合病院で診てもらうことも辻褄が合うからだ。
けれどその予想が当たってしまった場合を考えると、祐吾は胸が押し潰されそうになる。
「奈々……」
「……」