俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい
二人は派手なことを好まなかったので、親族のみの小さな結婚式を挙げることにした。会社関係者には後日きちんと挨拶に回るように手はずも整えてある。
新婦控室で綺麗に着飾った奈々は、鏡で自分の姿を写して胸が熱くなった。
純白のウェディングドレスは細部まで刺繍が施されており、重ねられたレースやリボンがとても華やかで上品だ。一生に一度の晴れ姿を母にも見せたかったなと、少ししんみりしてしまう。
真っ先に控え室に入ってきた父が、奈々を見て目を細める。
「奈々、幸せになりなさい」
穏やかで落ち着いた、それでいて重みのある言葉に、奈々は化粧が落ちないように頷くのがやっとだった。
幸せが胸いっぱいに広がって、言葉では言い表すことができないくらいに嬉しくて嬉しくて、感無量だ。
奈々は父の腕に手を添えて、バージンロードを歩いていく。
ゆっくりゆっくりと。
両親に感謝しながら。
今まで歩んできた道に感謝しながら。
出会えたことに感謝しながら。
この先には祐吾が待っている。
タキシードを着て優しい眼差しで立っている祐吾に、奈々は胸がドキドキした。
見つめるだけで、触れるだけで、胸が張り裂けそうなほどの想いがいっぱいになってたまらない。
「奈々」
「祐吾さん」
父から離れた手は祐吾の元へ。
そっと触れるだけで嬉しくなる。
奈々が見上げれば祐吾は目を細めて柔らかな眼差しで受け入れてくれる。二人で微笑み合うと、甘く幸せな気持ちでいっぱいになった。
ステンドグラスからは光りが降り注ぎ、二人を優しく包んでいた。
これから先、どんな道を歩むのだろう。
どんな未来が待っているのだろう。
共に歩んで行くことに、幸せと喜びと希望と、少しの不安と。
宣誓をするときも、誓いのキスをするときも、指輪を交換するときも、奈々は胸がいっぱいでドキドキが止まらなかった。
そう、いつだって、二人は恋をしている。
これからもずっと。
ずっと永遠に。