妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
「元気がないのは心配ですね…」

「美晴ちゃんもそう思う?」

「はい…」

お姉ちゃんが入院する白亜のお城のような建物が見えて来た。
待合ロビーも広く、豪華絢爛な雰囲気。

病室もホテルライクが満喫でき、三食の食事は本場のフレンチで三時のおやつは横浜でも有名な洋菓子店や和菓子店からお取り寄せするスィーツ。
我が『文栄堂』のどら焼きが出されるコトもあった。

入院中はお姫様気分が味わえるとあって、此処で出産を希望する妊婦たちが非常に多い。

「雪美…入るぞ…」

お姉ちゃんは三階の個室に入院していた。

「正史さん…美晴も来てくれたのね…」

正史さんは元気がないと言っていたが、お姉ちゃんはいつも通りの明るい元気な笑顔で私達を迎えてくれた。

「あ…これ…お前がお義母さんに頼んだ荷物だ…」

「ありがとう…そこに置いておいて」

「分かった」

正史さんは荷物をベット脇のソファ椅子に置いた。


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