妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
ヒヤリとした店内。

「寒いな…」

正史さんがポツリと言った。
「寒いですね…」
私も相槌を打つ。
「就活は始めてるの?美晴ちゃん」
正史さんは番重ごとショーケースへと入れながら、私に問いかけた。
「まぁー・・・」
私は曖昧な返事をした。
私も今春から大学四年生。周りの子達は色々とインターシップなどに参加して、自分の希望する業界にアプローチしていた。

私と言えば、家業の手伝いばかりして、就活には全く手をつけていなかった。
このまま、家業を手伝うのもアリかもしれない。
「もしかしたら、このまま…店の手伝いするかもしれませんけど」

「そうなの?」

「はい…」

こうして、初恋相手の正史さんと一緒に仕事が出来る。
お姉ちゃんと一年前に結婚。
二人の間には赤ちゃんが出来たと言うのに。
ーーーー私は諦めが悪い女・・・




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