妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
日本の最高峰の医療技術を持つ『東亜医科大付属病院』での診断。

母を早くに亡くした俺と父は二人家族。

二人で会社を大きくして、まだまだ・・・親子二人三脚で仕事に邁進して行こうと思っていた矢先だった。
父は俺に社長の椅子を明け渡して、今できる治療に専念した。

「・・・匡貴…見合いする気はないか?」

そりゃいつかはするだろうと漠然と考えていたが。今は仕事に余命幾ばくもない父に寄り添うコトが最優先だ。
結婚処ではない。

「今見合いする気はない・・・」

「私が居なくなれば…お前は一人だぞ…匡貴」

「父さん…縁起でもねぇコト言うなよ…」

「…いいから…見合いして結婚しろっ…そして、この私に希望を与えてくれ」

「父さん…!?」

「今まで無我夢中で仕事に没頭して来た…幼かったお前にも随分と寂しい思いをさせたと思う…」

「そんなコトはないさ…」

絶望する父は俺が見て来た姿とは違った。
広いと思っていた父の背中がとても小さく見えた。

< 47 / 111 >

この作品をシェア

pagetop