妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
私も下着をドレスを身に着けて、彼の後を追って寝室を出る。

寝室を出ると彼は既に紺のストライプ柄のスーツを着て、ネクタイを結んでいた。
細身のスーツ姿のせいか、華奢な体つきだと思うが、脱ぐと細マッチョで胸板がとても厚かった。

私は自分の思った以上に厭らしい女かもしれない。

二人でルームサービスのブレックファーストを食べる。

テーブルの脇には間宮さんの姿もあり、凪良社長と仕事のスケジュールについてやり取りを交わした。

「凪良社長…」

「美晴…俺のコトは名前で呼んでくれ…」

「あ、はい・・・匡貴さん・・・」

「それでいい…」

「匡貴さん…」

「何だ?」

「…口の端にケチャップが付いていますよ…」

間宮さんがクスッと笑う。

「そうか…」

彼は慌ててナフキンでケチャップを拭った。

「とれたか?美晴」

「はい…」

「良し」
彼はサラダのビーンズをフォークで突き刺そうしたが、失敗して皿の上でころりと転がった。
私はそれには笑いが漏れた。

彼も照れ臭そうに頬を紅く染めた。

匡貴さんは強面の顔をしながらも、何処か抜けた部分もある人だった。

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