妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
割烹着を脱ぎ、古来から受け継がれた縁起柄・矢羽根絣があしらわれた赤の茶衣着姿になり、洗面ルームで軽くナチュラルメイクを施す。

店は十時開店だけど、店の外でどら焼きを買う為に並ぶお客様の為に、十五分早めに店を開けた。

ひと晩中雪が降り続いた外はチラホラと薄っすらと白い雪で化粧され、朝の優しい陽光に照らされ、小さな真珠のように光り輝いていた。

最前列に並んでいたのは馴染みの岩倉のお爺ちゃんだった。

「おはよう御座います」

「おはよう…美晴ちゃん」

私はニコリと笑い、岩倉さんに挨拶をした。


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