妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
俺は氷室の連絡を受けて、『スコール』に向かった。

「氷室…美晴は何処に居るんだ?」

「まぁ―…落ち着いて下さい…凪良社長」

「これが落ち着いていられるか!!」

俺は氷室を責めた。

「…コーヒーをお持ちしました」

俺は秘書の阿部さんの姿を見て、落ち着きを取り戻す。

「医務室で休んでいるから…安心しろっ」

俺は氷室と対峙するようにソファを囲み、コーヒーを飲んだ。


「…奥さんはあの夜のコトを忘れたがっているぞ…俺に忘れてくれと言って来た・・・自分でも悪いと思っているんだろうな…」

氷室は俺が初めて美晴を抱いた夜の話を始めた。

「…奥さんは初めてだったんだろ?」

「そうだ・・・俺は無理やり美晴を抱いた…」

美晴が正史のコトに恋心を抱いているコトを知って、心の奥から溢れるやりきれない思いと独占欲で俺は・・・

あの夜は美晴の合意がなかった。

いやずっと美晴の合意は得られていないかもしれない。
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