妊娠前提マリアージュ~強面の海運王の身ごもり妻、赤ちゃんの誕生日が二人の離婚予定日~
「すまない・・・止めてくれ…妻と少し話がしたい」

「大丈夫ですか?匡貴さん…」


「大丈夫だ・・・こんなことになって・・・すまない・・・美晴」

「いえ…今は私のコトよりも自分のカラダを心配して下さい…匡貴さん」


「社長…」

「間宮・・・美晴を頼む…」

「それは承知しております…社長…」

私達は下船して、救急車に乗り込んだ。

匡貴さんは防刃ベストを着用していたけど、ベストで保護されている部分は胸部とお腹周りだけ。背中を刺されてしまった匡貴さんには何の役にも立たなかった。
私はギュッと彼の手を握りしめる。

私よりも大きな手。

「美晴…ゴメンな…ショー見れなかったな・・・」

「いえ・・・」

「結婚式も延期かも・・・しれないな・・・」

「匡貴さん…今は怪我を治すのが先決ですよ…」

「俺は楽しみにして…いたんだ・・・美晴のウエディングドレス…姿を…」

匡貴さんの黒い瞳は何処か遠くを見ていた。
そして、私の手を握りしめる力も弱くなっていく。

「ま、匡貴さん!?」


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