そういう目で見ています
どきん、と心臓が大きく跳ねた。

激しく自分の好みの人が、覆い被さらんばかりに自分の背後にいるのだ。

それに斜め後ろにある顔が近いし、なんだかいい匂いだし……。

マウスを動かして、彼は『シャットダウン』をクリックする。

「え?」
「今日は終わり」

「あの……」
「月蔵さん、契約、更新してくれてありがとう」

「いえ。こちらこそ」
「こういうのはいけないって、分かっているんだけど」

「こういうの…?」
なんだろう?この人は何を言おうとしているの?
急に胸がドキドキと音を立て始めた。

「月蔵さん、どうして、たまに俺のことじいっと見ているの?」

……っみ、見られていた!!

いけないのは私の方です!!
完全にそういう目で見ていましたから!
今日も舐めるように、後ろ姿を見ていたかもしれません!

不快に思われていたのかもしれない。
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