王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
騎士団長はご不在
ご不在の騎士団長
「どうして、すぐに散らかってしまうのかしらね?」
シルディーヌは南宮殿の食堂の中で、こてんと首を傾げた。
ここは昨日綺麗に掃除したばかり。それなのに、たったひと晩で乱雑になっている。
汚れた食器と読みかけの雑誌がテーブルの上に置きっぱなしで、誰のものと分からぬ衣服が椅子に掛けられているのだ。
この宮殿に配属された当初はゴミが床に散らばっていて、人が過ごす空間としては悲惨な状況だった。
初清掃のさいに、触覚のある黒いアイツに遭遇したのはトラウマ級の事件。
まあ、そのおかげで王太子殿下の腕に包まれたのは、至極幸運なことだったけれど。
「でも! これじゃ、すぐに害虫の住処になってしまうわ!」
今のうちになんとかしなければならない。害虫におびえながら床のゴミを拾うのは、もうごめんなのだ。
『文句があるなら、俺に言え。仕方がないから聞いてやる』
「もちろんよ! 今回こそ、絶対に改善してもらうわ」
しかるべき相手に文句を言うことに決め、シルディーヌは目の前の仕事にとりかかった。
だがしかしこの後抗議するも、例のごとくというべきか……見事に撃沈したのである。
「どうして、すぐに散らかってしまうのかしらね?」
シルディーヌは南宮殿の食堂の中で、こてんと首を傾げた。
ここは昨日綺麗に掃除したばかり。それなのに、たったひと晩で乱雑になっている。
汚れた食器と読みかけの雑誌がテーブルの上に置きっぱなしで、誰のものと分からぬ衣服が椅子に掛けられているのだ。
この宮殿に配属された当初はゴミが床に散らばっていて、人が過ごす空間としては悲惨な状況だった。
初清掃のさいに、触覚のある黒いアイツに遭遇したのはトラウマ級の事件。
まあ、そのおかげで王太子殿下の腕に包まれたのは、至極幸運なことだったけれど。
「でも! これじゃ、すぐに害虫の住処になってしまうわ!」
今のうちになんとかしなければならない。害虫におびえながら床のゴミを拾うのは、もうごめんなのだ。
『文句があるなら、俺に言え。仕方がないから聞いてやる』
「もちろんよ! 今回こそ、絶対に改善してもらうわ」
しかるべき相手に文句を言うことに決め、シルディーヌは目の前の仕事にとりかかった。
だがしかしこの後抗議するも、例のごとくというべきか……見事に撃沈したのである。
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