王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-

 しかしこのまま食堂の清掃ができないと、床がゴミだらけになって害虫の温床になってしまう。なんとかしたいが、どうすればいいのか……。

 アルフレッドがいない間は、フリードが全権を握っているのだ……ということは? 

 シルディーヌはハッと閃き、ぱーっと顔を輝かせた。

「そうだわ! 副団長のフリードさんが、立ち入り禁止を解いてくれればいいのよ!」

「それはできません。無理です」

 間髪入れずにきっぱりと拒否をされ、シルデョーヌはがっくり肩を落とす。だがしかし、理由が不明のままでは納得できない。

 だって掃除はシルディーヌの仕事だと諭すのに出入り禁止にするのは、どう考えてもおかしい。

「どうしてアルフは禁じたのかしらね……?」

「今、食堂には新入団員たちがいるからですよ。彼らは付属する隊が決まるまでは、主に食堂で研修メニューをこなします。応援要請があれば、駆り出されることもありますが」

「だから、邪魔をしてはいけないってことかしら」

 それならそうと言ってくれればいいのだが、アルフレッドはなにも説明しなかったのである。シルディーヌは首をかしげるばかりだ。

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