王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-

 シルディーヌはアルフレッドがいない間も、なにかから守られているのだろう。それがなにか、今ひとつわからないのが難点だ。

 まったくもって、相変わらずも難解な幼馴染である。

「戻られるまで、あと五日の我慢ですよ。食堂に関しては清掃しないまでも、団員たちにきちんと片づけるように命じますから。今まで通り、シルディーヌさんは立ち入り禁止です。こればかりは、譲れません」

 いつにない迫力を込めた眼差しで釘を刺され、シルディーヌは何度も頷いてみせたのだった。


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  夜の食堂は、シルディーヌのストレス発散と癒しの場である。

 特に今は、アルフレッドが不在なおかげで人と接する機会が激減したため、寂しいことこの上ない。

 団員たちが任務に出掛けた後の黒龍殿の空気は、修道院の静寂さに似ている。

 おまけにアルフレッドは、食堂に近づくことさえ『厳禁』だと言い残していったのだ。朝の出動時に団員の姿を見る以外は、ほぼ誰とも接していない。

 だから一転した食堂の賑わいが、たいそう心地いいのである。

「まあ、シルディーヌったら、そんなに盛り付けて平気なの?」

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