王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
キャンディが目を丸くするのはいつものことだが、今日は特別級に多い。
「ええ、だって今日はすごくお腹が空いてるもの」
ペペロネからもらったお菓子は全部フリードにあげてしまって、結局シルディーヌはおやつを食べていないのだ。
その分夕食で補わなければ、育てたいところに肉がつかない。目指すはペペロネのようにふっくらした胸だけれど、どういうわけかちっとも発育しないのだ。最近の悩みのひとつだが誰にも言えないことである。
今日のメニューは野菜とチキンのポトフにグラタン。
器いっぱいに入れたポトフを口に運んで、ジュワッと染み出るスープの味でほっこりし、グラタンを味わってしあわせな気持ちになる。
王宮の食事はいつも絶品だ。
「シルディーヌが羨ましいわ。私たちの誰よりも先に恋人ができたもの。やっぱりスタイルがいいからかしら?」
「そんなことないわ。キャンディやペペロネのほうが断然素敵よ」
ふたりとも胸の大きさに差はあれども女性らしいスタイルなのだ。シルディーヌのように貧相ではない。