王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-

 キャンディが目を丸くするのはいつものことだが、今日は特別級に多い。

「ええ、だって今日はすごくお腹が空いてるもの」

 ペペロネからもらったお菓子は全部フリードにあげてしまって、結局シルディーヌはおやつを食べていないのだ。

 その分夕食で補わなければ、育てたいところに肉がつかない。目指すはペペロネのようにふっくらした胸だけれど、どういうわけかちっとも発育しないのだ。最近の悩みのひとつだが誰にも言えないことである。

 今日のメニューは野菜とチキンのポトフにグラタン。

 器いっぱいに入れたポトフを口に運んで、ジュワッと染み出るスープの味でほっこりし、グラタンを味わってしあわせな気持ちになる。

 王宮の食事はいつも絶品だ。

「シルディーヌが羨ましいわ。私たちの誰よりも先に恋人ができたもの。やっぱりスタイルがいいからかしら?」

「そんなことないわ。キャンディやペペロネのほうが断然素敵よ」

 ふたりとも胸の大きさに差はあれども女性らしいスタイルなのだ。シルディーヌのように貧相ではない。

< 13 / 111 >

この作品をシェア

pagetop