王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
たしかに、受け皿よりもはるかに多い愛情を注がれているようだ。けれど、大半がざぶざぶ流れてしまって、コップ一杯ほども残っていなかったりして……?
もっとセーブしてほしいけれど、シルディーヌにはどうにもできない。
こんこんと出でる湧き水も、元となる雨が降らなければ枯れてしまう。アルフレッドにも元となるものを注がなければ、すぐに愛情がつきてしまうかもしれない。
それは、問題だ。
注がれ過ぎも困るがまったくなくなってしまったら、恐ろしいだけの騎士団長になって、幸せな結婚生活は望めない。
元となるものって、自分の愛情なのか。どうやって注げばいいのか。そもそも原料となるほどに注げるのか。
そんなことを考えていると、ペペロネたちはまだまだアルフレッドの話題を続けていて……。
「そうよねぇ。団長を狙っている王宮の侍女たちが知ったら、みんな衝撃を受けるわ。羨ましすぎて寝込む人もいるかもね」
──えっ、寝込むの?
「そ、そんなに、モテているの……?」
「そうね。今の王宮では王太子殿下よりも、人気があるんじゃないかしら?」