王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
騎士団長のご帰還


 騎士団長のご帰還


 護衛付きで往復すること二日が過ぎ、三日目を迎えた朝、シルディーヌはふぅっとため息をついた。

 新入団員の護衛は最初の一度だけで、あとの往復は騎士団員が二名ずつついている。

 朝と晩はメンバーが違うが、たいてい気だるそうな態度でシルディーヌが来るのを待っているのだ。

『なんで俺たちが侍女を護衛せねばならんのだ』と、しっかり顔に書いてあり、シルディーヌはつい『あ、もういいわ。私はひとりで行けるから』と言ってしまいそうになる。

「でも、それを言ってしまったら、いけないのよね……」

 おそらく今朝も、そんな感じなのだろう。

 侍女寮の玄関前にいけば、今朝の騎士団員は大あくびをしていた。

 直立不動でシルディーヌを待っていた新入団員たちは、初々しくて可愛かった。

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