王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
「そうですね、団長は〝仕事には〟厳しいお方でいらっしゃいますから、シルディーヌさんと言えども、お叱りになるでしょうね」
フリードはにこりと微笑んだあと、ふと顔を曇らせた。心なしか、げっそりとやつれているようにも思う。
「ですが、それは、私にも言えることでして」
「お仕事が大変なの?」
「ええ……ここだけの話、毎日必死なんです」
はぁっとため息を吐く彼には、いつものスマートさと気品が感じられない。
フリードはアルフレッドが不在の間、一切の業務を任されている。
普段の副団長としての業務に加えて団長の代理もある。おまけに、今は新入団員の訓練も任されているため多忙を極めているという。
目元にうっすらとクマがあり、睡眠も不足していそうだ。美男子が台無しである。
アルフレッドの執務姿は何度も見たことがあるけれど、たいていワイバーンのような顔で書類とにらめっこをしている。
あの量を請け負ったなら、さぞかし大変なことだろう。
──フリードさんにはいつもお世話になっているもの。なんとか元気づけてあげたいわ。