王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-

「ペペロネからもらったお菓子もあるの。甘いものは疲れが取れるわ。どうぞ」

 皿にこんもりと盛られたお菓子を見て、フリードが笑みを零した。

「ありがたく、いただきます。ああ……たしかに、気分が和らぐといいますか、ホッとしますねぇ」

 しみじみと呟くフリードの表情が、日向ぼっこをする猫のように和んでいる。休憩に誘って正解である。

「でしょう? 特に、ペペロネからもらったこのお菓子は絶品だもの。お部屋に持って行って時々食べるといいわ」

 シルディーヌはさりげなくペペロネを褒め、フリードのためにお菓子をつつむ。

 ペペロネは人さらい事件の時にフリードに恋をして、絶賛アプローチ中なのだ。

 あと一押しというところで停滞しているらしく、フリードがペペロネにお菓子のお礼をして、ふたりの距離が縮まればいいなと密かに企む。

 ──デートの約束ができたら素敵だわ。

「休憩時間は、いつもこんなふうに過ごしているんですね。団長が精力的に仕事をされるワケが分かる気がします」

「そうかしら……?」

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