王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
生来の貴族であるフリードと違い、庶民だったアルフレッドはもともとパワフルなのだ。シルディーヌとのお茶くらいで活力が漲るとは思えない。
「アルフはサッとお茶を飲んで、すぐに机に戻ってしまうの。こんなふうにゆっくり座ってお茶菓子を食べてないから、あまり疲れは取れていないと思うわ」
もっとお話をしたいと思うけれど仕事の邪魔をしてはいけないから遠慮しているのだ。だからシルディーヌは休憩時間いっぱいに、お茶を飲みながら執務机に向かう彼の横顔を眺めていることが多い。
横から見ればワイバーンのような顔も凛々しくて、執務に集中しているときは、いつものイジワルぶりを発揮しないからときめいてしまう。
アルフレッドはどんなに忙しくても、なんだかんだ言いつつ休憩に付き合ってくれるのだ。どちらかといえば、シルディーヌのほうが充電しているといえる。
「そんなことありませんよ。団長は瞬間的に癒されているはずですから」
「一瞬ってことなの?」
「いえ、そうでなく、瞬間がずーっと続くと言いますか、いつもの厳しい顔つきが、デレっと崩れてませんか?」
「デレデレに……なってるのかしら?」