王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
「それはそうと、団長がいなくてご不便なことはありませんか?」
「そうね。不便というか、気がかりなことがひとつだけあるわ。食堂のお掃除ができないから、とっても不潔になってるんじゃないかしら?」
アルフレッドが留守の間、シルディーヌは食堂への出入りを禁じられている。
『どうして?』と尋ねたけれど、『とにかく、入るな。命令だ』としか言わず、立ち入り禁止の理由は謎のままである。
アルフレッドに食堂のありさまについては文句を言ったけれど、『片付けるのがお前の仕事だ』と厳しく諭されたのだ。
団員は食事の途中でも、緊急に出動することがある。食器や服の放置はやむを得ない状況だったと理解すべきだ、と。
アルフレッドの言うことはもっともで、シルディーヌはしゅんとして拳を下ろしたのだ。
「そうですね。たしかに、荒れてきています。新入団員に掃除をさせましょう」
「それはいけないわ。掃除は私のお仕事だもの。ほかの人にさせてしまったら、アルフに叱られてしまうわ」
「そう……かもしれませんね。なにしろ、〝仕事には〟厳しいお方ですから」