性に適う君と僕
東 千世の噂を聞いたのは1年以上前のこと。
その時私は2年生だったので、東 千世は私の後輩にあたる。
ナナはよく彼のことを見かけるというけれど、私は1年以上たった今でも、噂の美形を拝んだことがない。
というのも、顔を知らないからである。
私が知っている彼の情報は「名前」と「美形」だけ。多分どこかですれ違っているのかもしれないけれど、知らないのだからどうしようもない。
「なーに春音、今更キョーミある感じ?」
「いや?今突然思いだしただけ。トマト潰れてたから」
「意味わからん」
「私も意味わからんや」
トマトが潰れたサンドイッチを食べながら、やっぱりあんまり好きじゃないなと思った。