切恋はひとつ屋根の下
引っ越してきて1週間。
なんとか荷物を片付け終わり、今日は念願の新しい家族を決めに行く日。


「朝陽、早く行こう。月希さんが待ってる!」

勿論、自分の店舗で、担当は月希さんにお願いした。

車を走らせて15分のところにある店は、週末ということもあり、駐車場は満車だった。
タイミング良く、入口付近の車が出たのでそこに止め、店内に入った。

「月希さん!」

「お、やっと来たか。」

「ご無沙汰してます。」

朝陽が軽く会釈する。

「朝陽、前にも言ったけどそんな改まった態度をあたしにするな。気楽にやってかないと今後の付き合いがだるいよ。」

月希さんは姉御肌。
しかし、私の恋人だからか、朝陽が丁寧に挨拶をするのを嫌がった。

「すいません、今日よろしくっす。」

「あいよ。で、七瀬はあの子がいいんでしょ?」

そう、私はすでに家族候補の子を決めていた。

「え?七瀬もう決めてたの?」

朝陽には秘密で、笑

「一目惚れでね。みてみて?」

私が選んだ犬種はペキニーズ。

「うわー!めっちゃぶさかわ!」

朝陽もその子を抱っこして頭を撫でる。
ペキニーズはなんといってもペチャ顔がたまらないんだよなー。

「どう?」

「うん!可愛い!めっちゃ可愛い!」


朝陽も大賛成のようだった。


「即決だね。じゃあ契約の準備進めていい?」
「お願いします。」


ペット用品の買い物、契約と、1時間が経った。

「よし、契約おしまい。今日連れて帰るんでしょ?」

「もちろん!朝陽、荷物先に車に運ぼう?」
「いいよ、俺運ぶから月希さんと話してて。」

朝陽は荷物が入ったカートを押しながら外に出ていった。



「あれから駿太に会った?」

月希さんはこれが本題かのように話してきた。

「会ってないですよ。」


「案外エントランスとかで会わないもんなんだ。」


まぁ出来れば私は会いたくないけどね

とはあえて口に出さず、今度遊びに来てくださいね。
と伝えた。
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