最強総長に、甘く激しく溺愛されて。 - RED KINGDOM -
指定された自分の座席に目を向けると……。
その隣には、私のほうなんか一切見もせず、杖頬をついてスマホを触っている男の子がいた。
整った顔はどこか物憂げ。
退屈そうにしながらも、纏う雰囲気に隙はなく。
この教室で、明らかに──いい意味で浮いていた。
なるほど、これは間違いなくモテる人だ……。
ただ気になるのが「カワイソ」ってセリフ。
もしかして、性格がかなりやばい人なのかな。
黒板の前から後ろまで、距離はたった数メートルなのに。クラスメイトの張り詰めた視線のせいで、席に着くまでが永遠にも感じられた。
なるべく音を立てないように椅子を引く。
隣の彼は、相変わらず頬杖でスマホ。私にはまっっったく興味がないみたい。
とはいえ初対面で隣の席となれば、あいさつくらいはするのが礼(儀。
「あのー、隣、よろしくお願いします」
小さく声をかけると、相手は視線だけをこちらに寄こして。
「誰?」
だ、だれ……っ?
まさか、教卓で私があいさつしてたのすら聞いてなかった?