最強総長に、甘く激しく溺愛されて。 - RED KINGDOM -
一時の沈黙で急に冷静になった。
姿も見えない相手を前に、じわりと冷や汗がにじむ。
ま、間違えた。これは間違えた。
聞く相手を絶対間違えた。
RED KINGDOMのことまだよくわかってないけど、思った以上に、軽々しく話しかけていい相手じゃなかったみたい。
ハチの巣を突いた馬鹿者は私です……。
「ごめ、ごめんなさい。やっぱりいいです」
勢いよく頭を下げて、それはそれは深く下げて、エレベーターに戻るとマッハのスピードで「閉」ボタンを連打。
――カチカチカチカチカチカチ。
一刻も早くこの場を去りたい。その一心は、
「ちょ、お嬢さんタンマ、」
という、予想外の声に邪魔されてしまった。
「……!」
エレベーターの扉に手をかけ、閉じるのを阻止する大きな手。
そこで輝く、いかついデザインの指輪たち。
さらりと流れる髪は、金というより白に近く……。