最強総長に、甘く激しく溺愛されて。 - RED KINGDOM -
無表情すぎてなにも伝わってこない。

でも、なにか言わなきゃ
もう行っちゃう……。


「怜悧くん、おれを呼び出したくせに、なんの話もせず戻んの?」


あわあわしていると、黒土くんが引き止めた。

やっぱりそうだ。怜悧くんだ。



「火事の原因が気になって呼び出しただけだ」

「原因、ねえ……。この女の部屋だろ? タバコなんてやるわけないし、ずっと空き部屋だったから漏ろう電でんでもしたんじゃないの?」


心なしか緊迫した空気に包まれる。

厳しい顔をした怜悧くんの視線――が、ふいにこちらに向いた。




「なあ転校生。火災報知器が鳴るまでは、絢人とずっと一緒にいたか?」

「へ? ああ、はい。隣で授業受けてました……」

「……わかった」



短く返事をして、今度こそ背を向けて階段を下りていく。


少し間を置いて、黒土くんも怜悧くんのあと追う。



『全校生徒に連絡します。午後3時頃に発生した女子寮の火災は無事、鎮火しました。繰り返します――』
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