最強総長に、甘く激しく溺愛されて。 - RED KINGDOM -
私のスマホライトがぼんやりとその郭輪を照らすから、皮肉なことに見事なホラー演出になってしまった。
「はは、ライトつけてきたんだ。賢い賢い」
「っあ、眩しいよね。消します」
「いいよ、足元危ないから照らしておきな。部屋はオレが案内する」
三好くんは微笑むと、私を廊下へ促した。
すたすたすた。
廊下に響くのは私の足音だけ。
三好くんは確かにななめ前を歩いてるのに、なんかヘンな感じ。
足音が聞こえないだけじゃなくて、息づかいとか、体温とか、そういうのもぜんぜん感じられなくて……。
やっぱり幽霊なんじゃないの?って。
不安になって背中を見つめていると、品のいい香りが鼻腔をくすぐった。
深い甘みを感じるのに、不思議としつこさはない。
控えめな華やかさ、って感じ。
これが、黒土くんが言ってた“三好の香水の匂い”。
「三好くんの香水ってジャスミン……?」
「おお、よくわかったね」
にこりと笑う気配がした。