最強総長に、甘く激しく溺愛されて。 - RED KINGDOM -

“ 赤帝の、キング”……。

わからない単語にますます不安が募っていく。



だけど、その赤帝のキングとやらに彼らの気が向いている今なら、逃げだせるんじゃないかと……。

もうあと少しで寮だったはずだし……!



誰も私に触れていないことを確認して、そっと後ずさりした。

目隠しのせいで、どっちに逃げればいいのかわからない。

それでも……。


「っ、おい、女が!」

「馬鹿、取り押さえろ!」


無闇に駆け出したのはいいものの、やっぱりそう上手くはいかないみたい。

5秒も経たないうちに腕を掴まれる。



そして、前からぎゅっと抱きしめるみたいに動きを封じられて


――その瞬間、ほのかに甘いムスクの香りがした。




「平気か?」

「っ、え……?」



落ちてきた言葉にいったん思考が停止する。
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