初老アイドルが一般人女子との恋を成就させるまで
教員という仕事は、ある意味際限のない仕事だ。
やろうと思えば、いくらでも長くできてしまう。
そんな仕事に区切りをつけて、茜と香代はいつもより少し早い19時半ごろに職場を後にした。
地方都市であるこの街では、通勤はもっぱら車を使う。
だから、行先の有名コーヒーチェーン店の場所だけ確認して、2人はそれぞれの車で店に向かい、合流した。
店に入り、茜はホットの豆乳のカフェラテ、香代はキャラメルラテを注文し、それを受け取って席についた。
「で?」
「で?」
「何悩んでんのよ」
「いや?悩んでないよ…?」
「幼馴染み歴22年の私を誤魔化せると思うな、茜」
「…ですよねー」
茜はため息をついて、カフェラテを一口飲んだ。
そして、この幼馴染み兼同僚の香代に、隠し事ができる訳がなかったと改めて思った。
「香代はホント鋭いね」
「小1から大学以外はずっと一緒だからね、分かるなっていう方が無理」
「右に同じ」
「で、どうしたの?」
ここまで来たら、嘘を言って回避することは難しい。
それは長年の付き合いをしている茜だからわかることだ。
だけど、このまま真実を、しかもこんな衆人環境で話す訳にはいかない。
だから、茜ができるのは、嘘は言わないけど真実を隠しながら言うことだけだった。
「えっとね…、実は…ちょーっと、デート的なお誘いを受けてまして…」
「うっそ、やったじゃん」
「ええ、まあ…」
「え、で?何が問題なの?」
「いやまあ、ちょっとね…、色んな意味で気を遣う相手なんですよ…」
「ほう」
「で、果たして行っていいものなのかどうかと…」
そこまで茜が話したところで、香代はキャラメルラテを飲みながら思案顔を浮かべる。
そして、カップの飲み口から口を離して、香代は口を開く。
「んー、今の茜の話だけだと情報がほぼないに等しいから判断し辛いんだけど…。確認だけどさ、茜今彼氏いたっけ?」
「いえ」
「社会人2年目に、大学の同期の彼と別れて以降いないでOK?」
「OK」
「じゃあ、いいんじゃない?」
「え?」
「だって、彼氏いないんなら浮気とかにもなんないし、いいんじゃない?」
あっけらかんと言われた言葉に、茜は思わず面食らってしまう。
一方の香代は、何をそんな悩んでいたのかとやや不思議そうな表情を浮かべている。
「え、何?行きたくない相手なの?」
「や、そういう訳じゃ…」
「じゃあ、いいじゃん」
そう言われてしまうと、茜にはもう返す言葉はなかった。
茜ができたのは、少し冷めてきたカフェラテを飲むことだけだった。
やろうと思えば、いくらでも長くできてしまう。
そんな仕事に区切りをつけて、茜と香代はいつもより少し早い19時半ごろに職場を後にした。
地方都市であるこの街では、通勤はもっぱら車を使う。
だから、行先の有名コーヒーチェーン店の場所だけ確認して、2人はそれぞれの車で店に向かい、合流した。
店に入り、茜はホットの豆乳のカフェラテ、香代はキャラメルラテを注文し、それを受け取って席についた。
「で?」
「で?」
「何悩んでんのよ」
「いや?悩んでないよ…?」
「幼馴染み歴22年の私を誤魔化せると思うな、茜」
「…ですよねー」
茜はため息をついて、カフェラテを一口飲んだ。
そして、この幼馴染み兼同僚の香代に、隠し事ができる訳がなかったと改めて思った。
「香代はホント鋭いね」
「小1から大学以外はずっと一緒だからね、分かるなっていう方が無理」
「右に同じ」
「で、どうしたの?」
ここまで来たら、嘘を言って回避することは難しい。
それは長年の付き合いをしている茜だからわかることだ。
だけど、このまま真実を、しかもこんな衆人環境で話す訳にはいかない。
だから、茜ができるのは、嘘は言わないけど真実を隠しながら言うことだけだった。
「えっとね…、実は…ちょーっと、デート的なお誘いを受けてまして…」
「うっそ、やったじゃん」
「ええ、まあ…」
「え、で?何が問題なの?」
「いやまあ、ちょっとね…、色んな意味で気を遣う相手なんですよ…」
「ほう」
「で、果たして行っていいものなのかどうかと…」
そこまで茜が話したところで、香代はキャラメルラテを飲みながら思案顔を浮かべる。
そして、カップの飲み口から口を離して、香代は口を開く。
「んー、今の茜の話だけだと情報がほぼないに等しいから判断し辛いんだけど…。確認だけどさ、茜今彼氏いたっけ?」
「いえ」
「社会人2年目に、大学の同期の彼と別れて以降いないでOK?」
「OK」
「じゃあ、いいんじゃない?」
「え?」
「だって、彼氏いないんなら浮気とかにもなんないし、いいんじゃない?」
あっけらかんと言われた言葉に、茜は思わず面食らってしまう。
一方の香代は、何をそんな悩んでいたのかとやや不思議そうな表情を浮かべている。
「え、何?行きたくない相手なの?」
「や、そういう訳じゃ…」
「じゃあ、いいじゃん」
そう言われてしまうと、茜にはもう返す言葉はなかった。
茜ができたのは、少し冷めてきたカフェラテを飲むことだけだった。