大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
「あぁ、それは良いわね。大泊瀬、是非そうしなさいよ。私も韓媛とは一度じっくり話してみたいと思っていたの。それにあなたが相手となると、彼女も色々と気苦労を抱えてるかもしれないし……」
忍坂姫も阿佐津姫に同調してそういった。
だが大泊瀬皇子はそれに対して、少し異議をとなえる。
「そんなことをしたら、むしろ韓媛の方が、母上達に対して気を遣わせて大変だ」
それを聞いた忍坂姫は思わず腹を立てる。そして彼に怒鳴り声を上げていった。
「大泊瀬、あなた母親に向かってなんて口の聞き方をするのよ!!あなたがそんなだから韓媛が心配になるのでしょう!!
もう良いから、つべこべいわずに彼女を誘いなさい。これは私の命令です!!」
大泊瀬皇子もそんな母親の気迫に思わず怖じけついてしまう。
ここまで彼女にいわれてしまうと、彼もよう逆らうことが出来ない。
(しまった。うっかり母上を怒らせてしまったようだ。これはもう諦めるしかないか……)
大泊瀬皇子は韓媛に対して心の中で詫びた。こうなってしまっては韓媛を誘わないと、母親の機嫌はとても収まりそうにない。
「はぁー仕方ない……では韓媛に声をかけてみる。母上それで良いのだな」
大泊瀬皇子は少しため息をついていった。
自身の夫である雄朝津間大王が亡くなったと言うのに、どうして彼女はこんなにも元気なのかと彼は少し呆れた。
と言うより、女性とは元々こういう生き物なのだろうか。
「でも、叔母様。それなら狩りは誰を誘うべきかしら。大泊瀬の周りにそんな気軽に誘える人がいるようには思えないわ」
阿佐津姫は横から話しかけてきた。阿佐津姫から見ると大泊瀬皇子は従弟になるが、彼女も彼が昔かなりの問題児だったことは知っている。
「そうよね、誰が良いかしら……あ、そうだわ。大泊瀬と阿佐津姫がいるのだし、誘うのは市辺皇子にしましょう!!」
忍坂姫はふと閃いていった。
「はぁ、市辺皇子!!」
大泊瀬皇子と阿佐津姫は途端に酷く嫌そうな表情をして叫んだ。
市辺皇子の父親と、大泊瀬皇子や阿佐津姫の父親は兄弟になる。よってこの2人と市辺皇子も従兄同士の関係だ。
「あら、良いじゃない。昔から知っている仲なのだから。いい加減大人になりなさい2人とも」
忍坂姫は何ら悪気もなく2人にそういった。彼女からしてみれば市辺皇子は自身の甥で、昔長らく一緒に住んでいた。
また彼は、そんな彼女の大のお気に入りの青年でもある。
大泊瀬皇子と阿佐津姫は一瞬互いに顔を見合わせた。そしてこれはどうしようもないといった表情を見せる。
(これはきっと母上が考えた配慮なのだろう……こうやって交流を図ることで、互いのわだかまりをなくすために。だが市辺皇子と仲良くするなど俺には到底無理な話だ)
忍坂姫も阿佐津姫に同調してそういった。
だが大泊瀬皇子はそれに対して、少し異議をとなえる。
「そんなことをしたら、むしろ韓媛の方が、母上達に対して気を遣わせて大変だ」
それを聞いた忍坂姫は思わず腹を立てる。そして彼に怒鳴り声を上げていった。
「大泊瀬、あなた母親に向かってなんて口の聞き方をするのよ!!あなたがそんなだから韓媛が心配になるのでしょう!!
もう良いから、つべこべいわずに彼女を誘いなさい。これは私の命令です!!」
大泊瀬皇子もそんな母親の気迫に思わず怖じけついてしまう。
ここまで彼女にいわれてしまうと、彼もよう逆らうことが出来ない。
(しまった。うっかり母上を怒らせてしまったようだ。これはもう諦めるしかないか……)
大泊瀬皇子は韓媛に対して心の中で詫びた。こうなってしまっては韓媛を誘わないと、母親の機嫌はとても収まりそうにない。
「はぁー仕方ない……では韓媛に声をかけてみる。母上それで良いのだな」
大泊瀬皇子は少しため息をついていった。
自身の夫である雄朝津間大王が亡くなったと言うのに、どうして彼女はこんなにも元気なのかと彼は少し呆れた。
と言うより、女性とは元々こういう生き物なのだろうか。
「でも、叔母様。それなら狩りは誰を誘うべきかしら。大泊瀬の周りにそんな気軽に誘える人がいるようには思えないわ」
阿佐津姫は横から話しかけてきた。阿佐津姫から見ると大泊瀬皇子は従弟になるが、彼女も彼が昔かなりの問題児だったことは知っている。
「そうよね、誰が良いかしら……あ、そうだわ。大泊瀬と阿佐津姫がいるのだし、誘うのは市辺皇子にしましょう!!」
忍坂姫はふと閃いていった。
「はぁ、市辺皇子!!」
大泊瀬皇子と阿佐津姫は途端に酷く嫌そうな表情をして叫んだ。
市辺皇子の父親と、大泊瀬皇子や阿佐津姫の父親は兄弟になる。よってこの2人と市辺皇子も従兄同士の関係だ。
「あら、良いじゃない。昔から知っている仲なのだから。いい加減大人になりなさい2人とも」
忍坂姫は何ら悪気もなく2人にそういった。彼女からしてみれば市辺皇子は自身の甥で、昔長らく一緒に住んでいた。
また彼は、そんな彼女の大のお気に入りの青年でもある。
大泊瀬皇子と阿佐津姫は一瞬互いに顔を見合わせた。そしてこれはどうしようもないといった表情を見せる。
(これはきっと母上が考えた配慮なのだろう……こうやって交流を図ることで、互いのわだかまりをなくすために。だが市辺皇子と仲良くするなど俺には到底無理な話だ)