大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
そして次の日の日中のことである。
阿佐津姫がじろじろと韓媛を見ながら、彼女に話しかけてきた。
「あの大泊瀬が相当入れ込む相手だから、どんな娘かと思っていたけど、まさかこんな可愛い子だったなんて……」
阿佐津姫はそんな韓媛を見て思わずため息をついた。
「本当にそうよ。まぁあの子も女性を見る目だけはあったようね。
最初葛城への代理には自分が行きたいと、雄朝津間に散々いっていたみたい。夫も息子にそこまでお願いされては、流石に駄目ともいえなくなって」
韓媛は忍坂姫にそういわれて、何となくその光景が浮かぶようで、少し恥ずかしくなる。
そして恥ずかしさの余り、思わず顔を下に向けてしまった。
今の大泊瀬皇子なら十分に考えられることだ。
そんな大泊瀬皇子は女性3人の話しに入るのがどうも嫌だったようで、明日の狩りの準備をするといって、外に出て行ってしまった。
また市辺皇子も、折角息長にきたのでこの辺りを馬で見て回ると話し、同じくこの場から離れていった。
(本当に、私はどう答えたら良いのかしら……)
韓媛はそんな2人の女性に対して、言葉に困ってしまう。
「まぁ昨日から見ている限り、大泊瀬なりには韓媛を大事にしているように見えたわ。叔母様、とりあえずは大丈夫そうね」
阿佐津姫は少し呆れながらも、とてもほっとしたような表情で忍坂姫にいった。
「まぁ、確かにそうみたいね」
忍坂姫も内心はとても喜んでいるようだ。
只でさえ一度切れると何をするか分からない息子なので、妃になるような女性を本当に大事に出来るのか、忍坂姫は少し心配していたのだろう。
「でも自身の初恋をそのまま成就まで持っていくなんて、本当に大泊瀬らしいというか...」
「え、私大泊瀬皇子の初恋だったのですか?」
韓媛も流石にこれは初耳だった。ただ当時12歳頃の時点で自分を妃に考えていたのだから、確かにあり得る話ではある。
「ええ、そうよ。どうもあの子は一度好きになると、そのまま突っ走る傾向があったみたい」
忍坂姫は少し愉快そうにしながらそういった。彼女はそんな息子を特に止める訳でもなく、そのまま温かく見守っていたのだろう。
「ここまでくると、驚きを通り越して本当に呆れてくるわ」
ただ阿佐津姫の方は、本当に信じられないといった感じで彼を見ていたようだ。
その時ふと韓媛は、昨日の阿佐津姫と市辺皇子の様子を思い出した。
(どうしよう、今ここで聞いてみても良いのかしら?)
「そういえば、阿佐津姫も昔他の男性から婚姻の申し込みがあったと聞きました。しかもその相手が、あの市辺皇子だったとか……」
韓媛は恐る恐るこのことを聞いてみた。
阿佐津姫がじろじろと韓媛を見ながら、彼女に話しかけてきた。
「あの大泊瀬が相当入れ込む相手だから、どんな娘かと思っていたけど、まさかこんな可愛い子だったなんて……」
阿佐津姫はそんな韓媛を見て思わずため息をついた。
「本当にそうよ。まぁあの子も女性を見る目だけはあったようね。
最初葛城への代理には自分が行きたいと、雄朝津間に散々いっていたみたい。夫も息子にそこまでお願いされては、流石に駄目ともいえなくなって」
韓媛は忍坂姫にそういわれて、何となくその光景が浮かぶようで、少し恥ずかしくなる。
そして恥ずかしさの余り、思わず顔を下に向けてしまった。
今の大泊瀬皇子なら十分に考えられることだ。
そんな大泊瀬皇子は女性3人の話しに入るのがどうも嫌だったようで、明日の狩りの準備をするといって、外に出て行ってしまった。
また市辺皇子も、折角息長にきたのでこの辺りを馬で見て回ると話し、同じくこの場から離れていった。
(本当に、私はどう答えたら良いのかしら……)
韓媛はそんな2人の女性に対して、言葉に困ってしまう。
「まぁ昨日から見ている限り、大泊瀬なりには韓媛を大事にしているように見えたわ。叔母様、とりあえずは大丈夫そうね」
阿佐津姫は少し呆れながらも、とてもほっとしたような表情で忍坂姫にいった。
「まぁ、確かにそうみたいね」
忍坂姫も内心はとても喜んでいるようだ。
只でさえ一度切れると何をするか分からない息子なので、妃になるような女性を本当に大事に出来るのか、忍坂姫は少し心配していたのだろう。
「でも自身の初恋をそのまま成就まで持っていくなんて、本当に大泊瀬らしいというか...」
「え、私大泊瀬皇子の初恋だったのですか?」
韓媛も流石にこれは初耳だった。ただ当時12歳頃の時点で自分を妃に考えていたのだから、確かにあり得る話ではある。
「ええ、そうよ。どうもあの子は一度好きになると、そのまま突っ走る傾向があったみたい」
忍坂姫は少し愉快そうにしながらそういった。彼女はそんな息子を特に止める訳でもなく、そのまま温かく見守っていたのだろう。
「ここまでくると、驚きを通り越して本当に呆れてくるわ」
ただ阿佐津姫の方は、本当に信じられないといった感じで彼を見ていたようだ。
その時ふと韓媛は、昨日の阿佐津姫と市辺皇子の様子を思い出した。
(どうしよう、今ここで聞いてみても良いのかしら?)
「そういえば、阿佐津姫も昔他の男性から婚姻の申し込みがあったと聞きました。しかもその相手が、あの市辺皇子だったとか……」
韓媛は恐る恐るこのことを聞いてみた。