大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
大泊瀬皇子の脳裏に、彼がまだ子供の頃に自身の父親である雄朝津間大王としていた会話の内容が甦ってきた。
この時大泊瀬皇子は、父親に肩車をしてもらってとても上機嫌でいた。
「父上は大和の王なんだろう?つまり大和で1番偉いんだ。父上は本当に凄い!」
大泊瀬皇子はとても無邪気にしてそういった。
それを聞いた雄朝津間大王は少し複雑そうな表情をする。
この末の皇子は、まだ大和やそこを治める大王の重要さを余り理解できていない。
「いいか、大泊瀬。俺は元々大和の第4皇子だったんだ。だが上の兄上達が次々亡くなっていき、それで自分が大王にならざるを得なくなって、即位することになったんだ」
「え、父上の兄妹は皆亡くなったの?」
大泊瀬皇子自身には沢山の兄妹がいて、皆とても元気に仲良く暮らしている。そんな彼からしたら、父上の兄弟が次々に亡くなったことはとても意外だった。
「あぁ、そうだよ。本当は大王になどならずに、忍坂姫やお前達と静かに暮らしていきたかった」
雄朝津間大王は遠くの景色を眺めながら、大泊瀬皇子にそう話す。
「ふーん、そうなんだ」
大泊瀬皇子にとって自身の父親は、大和の偉大な王というふうにしか見ていなかった。
なのでそんな彼が、望んで大王に即位した訳でなかったことに少し驚く。
「大泊瀬、そういう訳だからお前も第5皇子だからといって、大王の座が絶対に回って来ないとはいいきれないぞ」
「え、俺も大王に?」
大泊瀬皇子は父親にそういわれて、一瞬ポカーンとする。
「それに、俺はこの大和をもっと大きく強い国にしていくべきだと思う。そうなれば他の国に支配される心配もないからな」
「そっか、じゃあ俺が大王になって大和を今よりももっと強い国にしてやる!」
大泊瀬皇子は第5皇子の自分に、父親がまさか大王の話をふってくるとは思っていなかったので、とても嬉しくなった。
「まぁ、上の兄達が何らかの理由で大王になれなくなった場合の話しだがな……ただ一応もしもの時はお前も覚悟しておくんだぞ。
それと、これはここだけの話だが。忍坂姫も俺は大王になった以降の方がとても頼もしくなったといっていたよ」
これは明らかに雄朝津間大王ののろけ話だが、それでも大泊瀬皇子にはそんな父親がとても羨ましく見えた。
この時の大泊瀬皇子は、権力云々ではなくただ純粋に大和をもっと大きく強い国にしたいと思った。
その後彼も成長するにつれ、自身の立場がどんなものなのかを段々と理解するようになる。
だがそれでも大和を強い国にするという夢だけは、今でもずっと持ち続けていた。
この時大泊瀬皇子は、父親に肩車をしてもらってとても上機嫌でいた。
「父上は大和の王なんだろう?つまり大和で1番偉いんだ。父上は本当に凄い!」
大泊瀬皇子はとても無邪気にしてそういった。
それを聞いた雄朝津間大王は少し複雑そうな表情をする。
この末の皇子は、まだ大和やそこを治める大王の重要さを余り理解できていない。
「いいか、大泊瀬。俺は元々大和の第4皇子だったんだ。だが上の兄上達が次々亡くなっていき、それで自分が大王にならざるを得なくなって、即位することになったんだ」
「え、父上の兄妹は皆亡くなったの?」
大泊瀬皇子自身には沢山の兄妹がいて、皆とても元気に仲良く暮らしている。そんな彼からしたら、父上の兄弟が次々に亡くなったことはとても意外だった。
「あぁ、そうだよ。本当は大王になどならずに、忍坂姫やお前達と静かに暮らしていきたかった」
雄朝津間大王は遠くの景色を眺めながら、大泊瀬皇子にそう話す。
「ふーん、そうなんだ」
大泊瀬皇子にとって自身の父親は、大和の偉大な王というふうにしか見ていなかった。
なのでそんな彼が、望んで大王に即位した訳でなかったことに少し驚く。
「大泊瀬、そういう訳だからお前も第5皇子だからといって、大王の座が絶対に回って来ないとはいいきれないぞ」
「え、俺も大王に?」
大泊瀬皇子は父親にそういわれて、一瞬ポカーンとする。
「それに、俺はこの大和をもっと大きく強い国にしていくべきだと思う。そうなれば他の国に支配される心配もないからな」
「そっか、じゃあ俺が大王になって大和を今よりももっと強い国にしてやる!」
大泊瀬皇子は第5皇子の自分に、父親がまさか大王の話をふってくるとは思っていなかったので、とても嬉しくなった。
「まぁ、上の兄達が何らかの理由で大王になれなくなった場合の話しだがな……ただ一応もしもの時はお前も覚悟しておくんだぞ。
それと、これはここだけの話だが。忍坂姫も俺は大王になった以降の方がとても頼もしくなったといっていたよ」
これは明らかに雄朝津間大王ののろけ話だが、それでも大泊瀬皇子にはそんな父親がとても羨ましく見えた。
この時の大泊瀬皇子は、権力云々ではなくただ純粋に大和をもっと大きく強い国にしたいと思った。
その後彼も成長するにつれ、自身の立場がどんなものなのかを段々と理解するようになる。
だがそれでも大和を強い国にするという夢だけは、今でもずっと持ち続けていた。