大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
「大泊瀬皇子、それは一体どういう意味ですか?」
韓媛からしてみれば、自分は真っ当な意見をいったつもりである。
それなのに、なぜ彼は自分に対して悲しい表情を見せるのだろうか。
そんな韓媛の言葉を聞いた彼は、ふと彼女に歩み寄ってきたかと思うと、そのまま優しく彼女を抱き締めた。
「これは何度もいっていることだが、俺が好きなのはお前だけだ。間違っても今回の婚姻は心から望んでいる訳ではない」
韓媛はそれを聞いて、やっと彼のいいたかったことの意味を理解する。
「大泊瀬皇子、もちろん私もそのことは十分に理解しているつもりです。
なので感情的になることなく、冷静にいっただけですから」
韓媛も大泊瀬皇子にそういうと、思わず手を伸ばして彼の背中に回した。
彼のその優しさが今はとても温かく感じられて、本当に幸せな気持ちになる。
それから暫く抱き合ったままの2人だったが、そののちようやく皇子が韓媛から少し自身の身を離した。
韓媛はどうしたのかと、ふとそんな彼の顔を見上げる。
(大泊瀬皇子はまだ、何かいいたいことでもあるのかしら)
韓媛がそんな皇子の言葉を待っていると、彼が何かの決心をしたかのようにして彼女にいう。
「韓媛、この先俺は大和の大王として、この国を治めていかないといけない。父親や兄がやってきたように……」
韓媛もそんな彼の言葉を真剣に聞く。きっと彼は自身の覚悟をこれから自分に話そうとしているのだ。
「妃にするということは、そこにお前を巻き込むことにもなる。もしかすると、とても大変な苦労を強いることになるかもしれない。
だがそれでも、俺はお前と一緒に生きていきたい」
大泊瀬皇子は全く動じることなく、韓媛を見てそう話す。
(俺が葛城の姫であるお前を好きになってしまったばかりに……だがそれでも俺に全く後悔はしていない)
韓媛もそんな彼の言葉を聞いて、これがきっと彼の覚悟なのだろうと、とても感銘を受ける。
であれば自分もはっきりと自分の気持ちを伝えるべきだ。
「大泊瀬皇子、私もあなたとこの先もずっと一緒にいたいです。もう私の一族には何の力もありません。それでもあなたのことが好きだ……」
彼女がそう話している途中で「韓媛、それ以上はいうな!」と大泊瀬皇子が彼女の言葉をやめさせた。
韓媛は急に話しを止められて、一体どうしたのかと少し不思議そうにして彼を見た。
「そこから先は、俺がいいたい……」
大泊瀬皇子はゆっくりと一呼吸置いてからいった。
「俺はお前が葛城の姫だからではなく、純粋に1人の女性として好きだ。
だからどうか俺の妃として側にいて欲しい。俺はお前だけを愛している」
「大泊瀬皇子……」
韓媛は大泊瀬皇子のその言葉を聞き、思わず涙が溢れてきた。
彼のことはもちろん信じている。だがはっきりと言葉で伝えられると、こんなにも人は幸せな気持ちになるのだろうか。
韓媛からしてみれば、自分は真っ当な意見をいったつもりである。
それなのに、なぜ彼は自分に対して悲しい表情を見せるのだろうか。
そんな韓媛の言葉を聞いた彼は、ふと彼女に歩み寄ってきたかと思うと、そのまま優しく彼女を抱き締めた。
「これは何度もいっていることだが、俺が好きなのはお前だけだ。間違っても今回の婚姻は心から望んでいる訳ではない」
韓媛はそれを聞いて、やっと彼のいいたかったことの意味を理解する。
「大泊瀬皇子、もちろん私もそのことは十分に理解しているつもりです。
なので感情的になることなく、冷静にいっただけですから」
韓媛も大泊瀬皇子にそういうと、思わず手を伸ばして彼の背中に回した。
彼のその優しさが今はとても温かく感じられて、本当に幸せな気持ちになる。
それから暫く抱き合ったままの2人だったが、そののちようやく皇子が韓媛から少し自身の身を離した。
韓媛はどうしたのかと、ふとそんな彼の顔を見上げる。
(大泊瀬皇子はまだ、何かいいたいことでもあるのかしら)
韓媛がそんな皇子の言葉を待っていると、彼が何かの決心をしたかのようにして彼女にいう。
「韓媛、この先俺は大和の大王として、この国を治めていかないといけない。父親や兄がやってきたように……」
韓媛もそんな彼の言葉を真剣に聞く。きっと彼は自身の覚悟をこれから自分に話そうとしているのだ。
「妃にするということは、そこにお前を巻き込むことにもなる。もしかすると、とても大変な苦労を強いることになるかもしれない。
だがそれでも、俺はお前と一緒に生きていきたい」
大泊瀬皇子は全く動じることなく、韓媛を見てそう話す。
(俺が葛城の姫であるお前を好きになってしまったばかりに……だがそれでも俺に全く後悔はしていない)
韓媛もそんな彼の言葉を聞いて、これがきっと彼の覚悟なのだろうと、とても感銘を受ける。
であれば自分もはっきりと自分の気持ちを伝えるべきだ。
「大泊瀬皇子、私もあなたとこの先もずっと一緒にいたいです。もう私の一族には何の力もありません。それでもあなたのことが好きだ……」
彼女がそう話している途中で「韓媛、それ以上はいうな!」と大泊瀬皇子が彼女の言葉をやめさせた。
韓媛は急に話しを止められて、一体どうしたのかと少し不思議そうにして彼を見た。
「そこから先は、俺がいいたい……」
大泊瀬皇子はゆっくりと一呼吸置いてからいった。
「俺はお前が葛城の姫だからではなく、純粋に1人の女性として好きだ。
だからどうか俺の妃として側にいて欲しい。俺はお前だけを愛している」
「大泊瀬皇子……」
韓媛は大泊瀬皇子のその言葉を聞き、思わず涙が溢れてきた。
彼のことはもちろん信じている。だがはっきりと言葉で伝えられると、こんなにも人は幸せな気持ちになるのだろうか。