大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
エピローグ
大泊瀬皇子が新たな大王として即位してから3年程が経過していた。
彼は大王に即位後に新たに宮を立てて、その宮は泊瀬朝倉宮と呼ばれるようになる。
そして彼は今、大泊瀬大王と呼ばれている。
彼は皇子時代はとても恐れられていたが、大王即位後は順調に政りごとを始めていた。その甲斐もあって、その有能さを家臣達からもとても評価されている。
そして彼は周りの豪族に頼ることなく、大和そのものを強くし、協力な体制を作り上げることを目指していた。
「倭国も大事だが、宋や半島の動きも注意が必要だな。いざとなれば兵を向こうに送ることも考えなければ……」
彼は大王になって以降、いつも政りごとばかり考えるようになった。
「だが民あっての国だ。まずは農民達のことも考えないといけない……あとは遠方の豪族の動きにも注意が必要だろう」
彼は確かに優秀ではあるのだが、どうも変な所で不器用さがあるようだ。
だがそんな彼でも妃の元にはきちんと通っていた。即位から3年経った今も相変わらず韓媛だけを寵愛している。
そんな大王が、色々と考えている時である。彼に1人の男性が声をかけてきた。
「大王、こんな所におられたのですか?」
大泊瀬大王は一体誰だろうと思って、その人物を見る。
「何だ、誰かと思えば目じゃないか」
そう彼に呼ばれたのは、今大和の大連である物部目だった。
「はい、少し政り事のことで大王に相談したいことがあったので、この宮に寄りました」
「ふん、相変わらずお前は本当に真面目だな。なのにどうしてお前の息子の荒山は、ああも自由奔放なのだろうな……」
物部目には荒山という息子がおり、彼は政り事にも無関心で、割りと好き勝手に日々を過ごしていた。
「まぁ、息子は大王とは昔から悪友でしたな。その影響を大王が受けなかったのが本当に幸いでした……」
荒山と大泊瀬大王は昔からの悪友達ではあったが、大王にしてみれば彼は数少ない気心知れた友人である。
「おい、目。お前も自身の息子なのだから、やつをもう少し何とかしろ。これでは物部の将来が心配になる」
「大王本当に申し訳ない。何とか努力致します……」
(本当に大丈夫なのだろうか)
その後大泊瀬大王は物部目とその場で色々と話しをした。
大和をもっとさらに強力な国にしたいという大王の思いに、彼もとても共感している。
そして彼らはその目的のために日々、力をそそいでいた。
そしてその話がやっと終わりになると、大王は彼とはその場で別れることにした。
そして再び大王が歩いていると、近くから誰かの話し声が聞こえてくる。
どうやらこの宮に仕えている男達のようだ。
「おい、聞いたか。例の吉備の姫を」
「あぁ、あれだろ。吉備上道田狭の妻の稚媛のことだろ」
(うん、吉備の姫?一体何の話をしてるんだ)
吉備は大和と並ぶ程に大きな力をもった地方豪族で、彼もこの豪族のことは少し警戒していた。
とりあえずその男達の話しが少し気になったので、彼は少し隠れて盗み聞きをしてみることにした。
「そう、その稚媛のことだ。何でもたいそう美しい姫だそうで、夫の田狭がかなり自慢しているんだと。本当に羨ましいかぎりだな……」
「本当に全くだ。吉備といえば、かつて大和に嫁いだ黒日売もかなり美しい姫だったそうだ。またその姪の姫も大王の妃になっている。吉備は本当に美しい姫に恵まれているな」
どうやらその男達は、吉備の姫を面白楽しく話題にして話しているようだ。
「吉備の稚媛か……確かに吉備から嫁いできた姫は皆美しいと聞いている」
彼らは吉備の話しをしてはいるみたいだが、単なる吉備の姫の話しだけのようだ。
であれば彼もこれ以上話しを聞く必要もないと考え、そっとその場を離れることにした。
「まぁ、政り事のことはこれぐらいにして、早く韓媛の元に行くとしよう。最近少し体調を崩しやすいと聞いているからな」
それから大王は、馬に乗って韓媛の元へと向かうことにした。
彼は大王に即位後に新たに宮を立てて、その宮は泊瀬朝倉宮と呼ばれるようになる。
そして彼は今、大泊瀬大王と呼ばれている。
彼は皇子時代はとても恐れられていたが、大王即位後は順調に政りごとを始めていた。その甲斐もあって、その有能さを家臣達からもとても評価されている。
そして彼は周りの豪族に頼ることなく、大和そのものを強くし、協力な体制を作り上げることを目指していた。
「倭国も大事だが、宋や半島の動きも注意が必要だな。いざとなれば兵を向こうに送ることも考えなければ……」
彼は大王になって以降、いつも政りごとばかり考えるようになった。
「だが民あっての国だ。まずは農民達のことも考えないといけない……あとは遠方の豪族の動きにも注意が必要だろう」
彼は確かに優秀ではあるのだが、どうも変な所で不器用さがあるようだ。
だがそんな彼でも妃の元にはきちんと通っていた。即位から3年経った今も相変わらず韓媛だけを寵愛している。
そんな大王が、色々と考えている時である。彼に1人の男性が声をかけてきた。
「大王、こんな所におられたのですか?」
大泊瀬大王は一体誰だろうと思って、その人物を見る。
「何だ、誰かと思えば目じゃないか」
そう彼に呼ばれたのは、今大和の大連である物部目だった。
「はい、少し政り事のことで大王に相談したいことがあったので、この宮に寄りました」
「ふん、相変わらずお前は本当に真面目だな。なのにどうしてお前の息子の荒山は、ああも自由奔放なのだろうな……」
物部目には荒山という息子がおり、彼は政り事にも無関心で、割りと好き勝手に日々を過ごしていた。
「まぁ、息子は大王とは昔から悪友でしたな。その影響を大王が受けなかったのが本当に幸いでした……」
荒山と大泊瀬大王は昔からの悪友達ではあったが、大王にしてみれば彼は数少ない気心知れた友人である。
「おい、目。お前も自身の息子なのだから、やつをもう少し何とかしろ。これでは物部の将来が心配になる」
「大王本当に申し訳ない。何とか努力致します……」
(本当に大丈夫なのだろうか)
その後大泊瀬大王は物部目とその場で色々と話しをした。
大和をもっとさらに強力な国にしたいという大王の思いに、彼もとても共感している。
そして彼らはその目的のために日々、力をそそいでいた。
そしてその話がやっと終わりになると、大王は彼とはその場で別れることにした。
そして再び大王が歩いていると、近くから誰かの話し声が聞こえてくる。
どうやらこの宮に仕えている男達のようだ。
「おい、聞いたか。例の吉備の姫を」
「あぁ、あれだろ。吉備上道田狭の妻の稚媛のことだろ」
(うん、吉備の姫?一体何の話をしてるんだ)
吉備は大和と並ぶ程に大きな力をもった地方豪族で、彼もこの豪族のことは少し警戒していた。
とりあえずその男達の話しが少し気になったので、彼は少し隠れて盗み聞きをしてみることにした。
「そう、その稚媛のことだ。何でもたいそう美しい姫だそうで、夫の田狭がかなり自慢しているんだと。本当に羨ましいかぎりだな……」
「本当に全くだ。吉備といえば、かつて大和に嫁いだ黒日売もかなり美しい姫だったそうだ。またその姪の姫も大王の妃になっている。吉備は本当に美しい姫に恵まれているな」
どうやらその男達は、吉備の姫を面白楽しく話題にして話しているようだ。
「吉備の稚媛か……確かに吉備から嫁いできた姫は皆美しいと聞いている」
彼らは吉備の話しをしてはいるみたいだが、単なる吉備の姫の話しだけのようだ。
であれば彼もこれ以上話しを聞く必要もないと考え、そっとその場を離れることにした。
「まぁ、政り事のことはこれぐらいにして、早く韓媛の元に行くとしよう。最近少し体調を崩しやすいと聞いているからな」
それから大王は、馬に乗って韓媛の元へと向かうことにした。