大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
葛城の姫
この時代、大和周辺の豪族のうち葛城が最も大きな影響力を持っていた。
その理由の1つとして、これまで大王の正妃は同じ皇族内から迎えていた。
だがかつて聖帝と呼ばれた大雀大王は、始めて豪族から正妃を迎えたのである。
その正妃と言うのが葛城の磐之媛で、彼女が産んだ4番目の皇子が今の雄朝津間大王だ。
葛城は大和において、それだけ強い影響力を持っている豪族として存在している。
そんな葛城を今まとめているのが葛城円と言う人物だ。そして彼には韓媛という1人の娘がいた。
韓媛は今年14歳になっていた。
普段は長い髪を一つにまとめてしばり、下に垂らしている。母親似の彼女は顔立ちがとてもはっきりしており、それでいて何とも聡明な娘である。
今は父親の円の元で暮らしており、韓媛の母親は彼女が12歳の時に亡くなっている。
その事もあって、父親の円は娘の韓媛をとても大切にしていた。
そして今日は、父親の円の元に大王の代理の者が来るそうで、彼女の父親は朝からとても忙しくしていた。
「お父様も、本当に大変ね。最近は大王も体調を崩されやすいそうだから、きっとまた変な気苦労を抱えてるんだわ」
韓媛は自分の部屋で、そんな父親の事を脳裏に浮かべて、思わずため息をした。
彼女は小さい頃から自身の父親をとても好いていた。
そんな彼が、最近の大和での問題事をとても気にかけており、韓媛はそんな父親の事を少し心配していた。
(本当に、お父様はいつも無理ばかりして……)
また父親の話しでは、最近雄朝津間大王が体調を崩しやすいのが原因で、余り表に出られないとの事だった。
そのため、今は家臣や彼の皇子達が代理で動いているらしい。
「今は皇子だけでも5人いるから、後継者の問題はないのかもしれない。でも木梨軽皇子と軽大娘皇女の問題が少し心配ね」
(でも実の兄妹同士での恋なんて、私にはとても想像がつかないわ)
韓媛は父親の影響もあるためか、頭も良く、政り事にもとても感心をもっていた。
そのため、円は娘が男の子だったらどれ程良かったかと良く嘆いていた。
「あ、そうだわ。大和の皇子で思い出したけど、大泊瀬皇子は今どうしてるのかしら」
彼女の言う大泊瀬皇子とは、今の雄朝津間大王の7番目の子供で、第5皇子にあたる。
元々大泊瀬皇子と韓媛は幼馴染みのような関係だった。彼は以前、大人に連れられて葛城にも時々顔を見せていた。
そして円と大和の者が話している最中、2人は良く一緒に遊んでいた仲である。
「もう皇子とは4年も会っていない。今も相変わらず酷く問題児のままかしら?」
当時大泊瀬皇子は12歳で、韓媛は10歳だった。当時の皇子は、とにかく手がつけられない子供で、よく悪さばかりしていたのを彼女は覚えている。
なので他の子供達は、彼の事をとても怖がっていた。ただ当時からとても聡明だった韓媛だけは、上手く対処ができたので、彼と普通に接する事が出来ていた。
と言うより、彼女はそんな大泊瀬皇子を見て、「自分が何とかしないと……」と言う変な義務感を持ってしまった。
その理由の1つとして、これまで大王の正妃は同じ皇族内から迎えていた。
だがかつて聖帝と呼ばれた大雀大王は、始めて豪族から正妃を迎えたのである。
その正妃と言うのが葛城の磐之媛で、彼女が産んだ4番目の皇子が今の雄朝津間大王だ。
葛城は大和において、それだけ強い影響力を持っている豪族として存在している。
そんな葛城を今まとめているのが葛城円と言う人物だ。そして彼には韓媛という1人の娘がいた。
韓媛は今年14歳になっていた。
普段は長い髪を一つにまとめてしばり、下に垂らしている。母親似の彼女は顔立ちがとてもはっきりしており、それでいて何とも聡明な娘である。
今は父親の円の元で暮らしており、韓媛の母親は彼女が12歳の時に亡くなっている。
その事もあって、父親の円は娘の韓媛をとても大切にしていた。
そして今日は、父親の円の元に大王の代理の者が来るそうで、彼女の父親は朝からとても忙しくしていた。
「お父様も、本当に大変ね。最近は大王も体調を崩されやすいそうだから、きっとまた変な気苦労を抱えてるんだわ」
韓媛は自分の部屋で、そんな父親の事を脳裏に浮かべて、思わずため息をした。
彼女は小さい頃から自身の父親をとても好いていた。
そんな彼が、最近の大和での問題事をとても気にかけており、韓媛はそんな父親の事を少し心配していた。
(本当に、お父様はいつも無理ばかりして……)
また父親の話しでは、最近雄朝津間大王が体調を崩しやすいのが原因で、余り表に出られないとの事だった。
そのため、今は家臣や彼の皇子達が代理で動いているらしい。
「今は皇子だけでも5人いるから、後継者の問題はないのかもしれない。でも木梨軽皇子と軽大娘皇女の問題が少し心配ね」
(でも実の兄妹同士での恋なんて、私にはとても想像がつかないわ)
韓媛は父親の影響もあるためか、頭も良く、政り事にもとても感心をもっていた。
そのため、円は娘が男の子だったらどれ程良かったかと良く嘆いていた。
「あ、そうだわ。大和の皇子で思い出したけど、大泊瀬皇子は今どうしてるのかしら」
彼女の言う大泊瀬皇子とは、今の雄朝津間大王の7番目の子供で、第5皇子にあたる。
元々大泊瀬皇子と韓媛は幼馴染みのような関係だった。彼は以前、大人に連れられて葛城にも時々顔を見せていた。
そして円と大和の者が話している最中、2人は良く一緒に遊んでいた仲である。
「もう皇子とは4年も会っていない。今も相変わらず酷く問題児のままかしら?」
当時大泊瀬皇子は12歳で、韓媛は10歳だった。当時の皇子は、とにかく手がつけられない子供で、よく悪さばかりしていたのを彼女は覚えている。
なので他の子供達は、彼の事をとても怖がっていた。ただ当時からとても聡明だった韓媛だけは、上手く対処ができたので、彼と普通に接する事が出来ていた。
と言うより、彼女はそんな大泊瀬皇子を見て、「自分が何とかしないと……」と言う変な義務感を持ってしまった。