大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
数日後、今日は大泊瀬皇子が葛城円の元に来る話しになっていた。
今の大和王権において、大連は物部伊莒弗に代わり大伴室屋と言う人物が担い、大臣は韓媛の父親の葛城円が引き続き担っている。
それで葛城円とのやり取りは、ひとまず今まで通り、大泊瀬皇子が葛城に出向いて行う事になっていた。
「今日は余り大泊瀬皇子に会いたい気分じゃない……気分転換も兼ねて、家の外に出て散歩でもしてみようかしら」
韓媛は、先日の大泊瀬皇子の妃選びの件をかなり気にしていた。先日の使用人達の話だと、父親の円も相手が誰かまでは確認出来なかったようだ。
(お父様にも、この話しはその後中々聞けないでいる。本人に聞くのが一番早いのだけれど、それも何となく気が重いわ)
「とりあえず、1人でいても色々考えてしまうから、散歩に行って時間をつぶしましょう」
韓媛はそう思い立つと、部屋を出て外に向かう事にした。
だが今回は使用人には言わないで行くつもりだ。
今日は大泊瀬皇子が来る事になっているので、そんな中外に行くとなると、変に思われても困るからだ。
そして彼女が部屋を出て、家の外に向かっている時だった。いきなり自分の名前を誰かに呼ばれた。
「おい、韓媛。お前どこに行くつもりだ」
韓媛は思わずビクッとした。そして恐る恐る後ろを振り返ると、そこには大泊瀬皇子本人が立っていた。
「あら、大泊瀬皇子来られてたのですね。丁度気分転換に、少し外に出てみようと思っていたの」
韓媛はとりあえず、彼に普段通りに挨拶をした。
大泊瀬皇子の方も、特に不思議がる感じでもなく、彼女の側に近付いてきた。
「あぁ、悪いな。今日もここに来ていて、円とは今話しが済んだところだ。これからお前の元にも寄ろうとしたが、丁度目の前にいたのでな」
そんな彼の話しを聞いて、彼女は中々自分の思うようには行かないなと思った。
「本当にそれは済みませんでした。大王も変わられた事ですし、皇子も色々と大変なのではないですか?」
とりあえず彼女は、今の大和の現状を聞いてみる事にした。これはこれで丁度気になっていた所である。
「あぁ、穴穂の兄上も最近は少し落ち着いて来た感じだ。そのため、今は政り事以外にも目を向けるようになってきている」
(政り事以外……それってもしかして大泊瀬皇子の件も含まれてるのかしら)
韓媛は、もうここまで来たら観念して、彼に直接聞いてみようと思った。
これは恐らく、いずれ自分も知る事になる話しなのだから。
今の大和王権において、大連は物部伊莒弗に代わり大伴室屋と言う人物が担い、大臣は韓媛の父親の葛城円が引き続き担っている。
それで葛城円とのやり取りは、ひとまず今まで通り、大泊瀬皇子が葛城に出向いて行う事になっていた。
「今日は余り大泊瀬皇子に会いたい気分じゃない……気分転換も兼ねて、家の外に出て散歩でもしてみようかしら」
韓媛は、先日の大泊瀬皇子の妃選びの件をかなり気にしていた。先日の使用人達の話だと、父親の円も相手が誰かまでは確認出来なかったようだ。
(お父様にも、この話しはその後中々聞けないでいる。本人に聞くのが一番早いのだけれど、それも何となく気が重いわ)
「とりあえず、1人でいても色々考えてしまうから、散歩に行って時間をつぶしましょう」
韓媛はそう思い立つと、部屋を出て外に向かう事にした。
だが今回は使用人には言わないで行くつもりだ。
今日は大泊瀬皇子が来る事になっているので、そんな中外に行くとなると、変に思われても困るからだ。
そして彼女が部屋を出て、家の外に向かっている時だった。いきなり自分の名前を誰かに呼ばれた。
「おい、韓媛。お前どこに行くつもりだ」
韓媛は思わずビクッとした。そして恐る恐る後ろを振り返ると、そこには大泊瀬皇子本人が立っていた。
「あら、大泊瀬皇子来られてたのですね。丁度気分転換に、少し外に出てみようと思っていたの」
韓媛はとりあえず、彼に普段通りに挨拶をした。
大泊瀬皇子の方も、特に不思議がる感じでもなく、彼女の側に近付いてきた。
「あぁ、悪いな。今日もここに来ていて、円とは今話しが済んだところだ。これからお前の元にも寄ろうとしたが、丁度目の前にいたのでな」
そんな彼の話しを聞いて、彼女は中々自分の思うようには行かないなと思った。
「本当にそれは済みませんでした。大王も変わられた事ですし、皇子も色々と大変なのではないですか?」
とりあえず彼女は、今の大和の現状を聞いてみる事にした。これはこれで丁度気になっていた所である。
「あぁ、穴穂の兄上も最近は少し落ち着いて来た感じだ。そのため、今は政り事以外にも目を向けるようになってきている」
(政り事以外……それってもしかして大泊瀬皇子の件も含まれてるのかしら)
韓媛は、もうここまで来たら観念して、彼に直接聞いてみようと思った。
これは恐らく、いずれ自分も知る事になる話しなのだから。