大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
吉野での出来事
こうして10日間程した後、韓媛達はいよいよ吉野へと向かう事となった。
葛城円は韓媛と従者を数名ひきつれ、まずは大泊瀬皇子のいる遠飛鳥宮へと向かう。
そして皇子と彼の従者と合流すると、彼らは続けて吉野に行くために馬を走らせた。
韓媛は父親である葛城円の馬に一緒に乗っており、そんな彼女ら親子の横では、大泊瀬皇子が並んで馬を走らせている。
この季節は周りの山々が紅葉におおわれている。そしてそこからは秋の景色も垣間みることが出来た。
そしてこの日は天候にも恵まれ、遠出にとても最適な日となった。
「お父様、今日は良い天気に恵まれて本当に良かったですね」
韓媛は嬉しそうにしながら、後にいる父親に話しかけた。彼女自身、ここまで遠くに来るのはかなり久しぶりである。
大泊瀬皇子はそんな無邪気な彼女を見ながら、内心ふと思った。
(相変わらず韓媛は、父親にとてもよく懐いている。これだと円も中々娘を嫁がせにくいだろう。 まぁ父親と娘が仲が良いのが悪い事ではないが……)
大泊瀬皇子はそんな事を考えながら、突然円に声をかける。
「円、この先一旦は離宮に行く事にする。そして荷物をおろした後に、川沿いに向かうがそれで良いか」
皇子曰く、大和の離宮の近くに大きな川が流れており、その付近に紅葉の綺麗な場所があるらしい。今日は皆でそこに向かう予定である。
「そうですね。ここまで走り通しでしたので、少し離宮で休憩したのち向かわれたら宜しいかと」
葛城円は大泊瀬皇子にそう答えた。自分はまだ大丈夫だが、娘の体力も考えて休憩を挟んだほうが良いであろう。
こうして彼らは、一旦離宮に寄る事にした。離宮はこの付近に住む者達に、管理を任せている。
大泊瀬皇子は宮に着くと、管理の者を呼び寄せて指示を出している。
韓媛は始めてきた離宮を、1人で色々と見て回っていた。凄く広いと言う訳ではなかったが、とても綺麗に整備されていて、さすが大和の宮だなと思った。
(本当に良い所だわ。皇族の人達が行幸で使う気持ちが良く分かる)
すると大泊瀬皇子が遠くから、こっちに来るように声をかけてきた。どうやら皆で移動をするようだ。
(あら、やだ私ったら。初めて来たものだからつい……)
韓媛は急いで大泊瀬皇子の元に駆けよった。
「済みません、大泊瀬皇子。初めてきた所だったので、色々と興味深くて」
それでも韓媛は初めての場所なので、とても心を躍らせている。
大泊瀬皇子もそんな彼女を見て、本人がこの離宮を気に入ってくれたようで安堵する。こんな機会でもなければ、中々彼女をここに連れて来る事もなかっただろう。
「いや、それは良いが、そろそろ移動しようと思う」
こうして皇子達は、しばらく離宮で休憩した後、近くに流れている川の側へ向かう事にした。
葛城円は韓媛と従者を数名ひきつれ、まずは大泊瀬皇子のいる遠飛鳥宮へと向かう。
そして皇子と彼の従者と合流すると、彼らは続けて吉野に行くために馬を走らせた。
韓媛は父親である葛城円の馬に一緒に乗っており、そんな彼女ら親子の横では、大泊瀬皇子が並んで馬を走らせている。
この季節は周りの山々が紅葉におおわれている。そしてそこからは秋の景色も垣間みることが出来た。
そしてこの日は天候にも恵まれ、遠出にとても最適な日となった。
「お父様、今日は良い天気に恵まれて本当に良かったですね」
韓媛は嬉しそうにしながら、後にいる父親に話しかけた。彼女自身、ここまで遠くに来るのはかなり久しぶりである。
大泊瀬皇子はそんな無邪気な彼女を見ながら、内心ふと思った。
(相変わらず韓媛は、父親にとてもよく懐いている。これだと円も中々娘を嫁がせにくいだろう。 まぁ父親と娘が仲が良いのが悪い事ではないが……)
大泊瀬皇子はそんな事を考えながら、突然円に声をかける。
「円、この先一旦は離宮に行く事にする。そして荷物をおろした後に、川沿いに向かうがそれで良いか」
皇子曰く、大和の離宮の近くに大きな川が流れており、その付近に紅葉の綺麗な場所があるらしい。今日は皆でそこに向かう予定である。
「そうですね。ここまで走り通しでしたので、少し離宮で休憩したのち向かわれたら宜しいかと」
葛城円は大泊瀬皇子にそう答えた。自分はまだ大丈夫だが、娘の体力も考えて休憩を挟んだほうが良いであろう。
こうして彼らは、一旦離宮に寄る事にした。離宮はこの付近に住む者達に、管理を任せている。
大泊瀬皇子は宮に着くと、管理の者を呼び寄せて指示を出している。
韓媛は始めてきた離宮を、1人で色々と見て回っていた。凄く広いと言う訳ではなかったが、とても綺麗に整備されていて、さすが大和の宮だなと思った。
(本当に良い所だわ。皇族の人達が行幸で使う気持ちが良く分かる)
すると大泊瀬皇子が遠くから、こっちに来るように声をかけてきた。どうやら皆で移動をするようだ。
(あら、やだ私ったら。初めて来たものだからつい……)
韓媛は急いで大泊瀬皇子の元に駆けよった。
「済みません、大泊瀬皇子。初めてきた所だったので、色々と興味深くて」
それでも韓媛は初めての場所なので、とても心を躍らせている。
大泊瀬皇子もそんな彼女を見て、本人がこの離宮を気に入ってくれたようで安堵する。こんな機会でもなければ、中々彼女をここに連れて来る事もなかっただろう。
「いや、それは良いが、そろそろ移動しようと思う」
こうして皇子達は、しばらく離宮で休憩した後、近くに流れている川の側へ向かう事にした。