大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
眉輪の目から思わず涙がでてきた。自分の父親が一体何をしたというのだ。
その時まだ幼い彼の心に沸々と怒りが込み上がる。今の大王は自身の幸せな生活を壊し、そしてさらには彼の母親まで奪いさってしまったのだ。
(大王のことは絶対に許さない……父さまの仇を僕がとってやる)
眉輪はそこで大王に復讐することを決めた。
大王など死んでしまえば良い。己の父親が受けた苦しみを味あわせてやろう。
その後眉輪は静かにその場を離れて行った。
それから眉輪は大王が自身の部屋で寝ているのを確認したのち、彼の寝床にそっと気づかれないようにして入っていく。
今は辺りもだいぶ日が暮れてきていた。
そして部屋に入ると、彼は大王の側に置いてあった飾大刀を自身の手に持ち、鞘から剣を抜いた。
(今大王は寝ている。そっと近づいてやれば、気付かれない……)
そして彼は大王の側までくると、一気に大刀を振り下ろし、大王の首を斬る。
7歳の子供とは思えない、凄まじい気迫と力だった。
その瞬間に大王の目が一瞬開いたが、そのまま彼は程なくして死んでしまう。
大王が死んだのを確認すると、眉輪はそこでやっと我に返ることができた。
一体自分はどうして、このようなことをしてしまったのだろうか。
(ど、どうしよう……ぼ、僕、大王を殺してしまった)
眉輪は、とりあえず今はどこかに逃げるしかないと考えた。
(大和の人達は、きっと僕のことを許さない。そ、そうだ。であれば力のある葛城の元に行こう)
眉輪の脳裏に葛城円が浮かんだ。彼なら自分を助けてくれるかもしれない。
それに葛城円の元なら、子供の自分でも歩いて行けなくもない。
眉輪はそう思うと、慌ててその場を後にし、葛城円の元に向かうことにした。
穴穂大王の寝床から眉輪が慌てて出ていくのを見た、宮の使用人の男は不振に思い、大王の元に行ってみることにした。
そして大王が死んでいるのを目にし、余りのことにその場で大声を発した。
「あ、穴穂大王ー!!」
その瞬間に宮は大騒ぎとなる。宮の使用人達が大王の部屋を確認した所、大王を斬った飾大刀にたくさん血が付いており、それが子供の手の形のように見えた。
そして先程、眉輪が慌てて大王の元から逃げて行くのを使用人の男が見ている。そのため穴穂大王を殺したのが、眉輪ということも分かってしまった。
それを知った中磯皇女は、余りのことにその場で気を失ってしまう。
また眉輪は既に宮から逃げていたため、既に行方が分からなくなっていた。
そこで宮の者達は、すぐさま遠飛鳥宮にこの件を伝えることにした。
その時まだ幼い彼の心に沸々と怒りが込み上がる。今の大王は自身の幸せな生活を壊し、そしてさらには彼の母親まで奪いさってしまったのだ。
(大王のことは絶対に許さない……父さまの仇を僕がとってやる)
眉輪はそこで大王に復讐することを決めた。
大王など死んでしまえば良い。己の父親が受けた苦しみを味あわせてやろう。
その後眉輪は静かにその場を離れて行った。
それから眉輪は大王が自身の部屋で寝ているのを確認したのち、彼の寝床にそっと気づかれないようにして入っていく。
今は辺りもだいぶ日が暮れてきていた。
そして部屋に入ると、彼は大王の側に置いてあった飾大刀を自身の手に持ち、鞘から剣を抜いた。
(今大王は寝ている。そっと近づいてやれば、気付かれない……)
そして彼は大王の側までくると、一気に大刀を振り下ろし、大王の首を斬る。
7歳の子供とは思えない、凄まじい気迫と力だった。
その瞬間に大王の目が一瞬開いたが、そのまま彼は程なくして死んでしまう。
大王が死んだのを確認すると、眉輪はそこでやっと我に返ることができた。
一体自分はどうして、このようなことをしてしまったのだろうか。
(ど、どうしよう……ぼ、僕、大王を殺してしまった)
眉輪は、とりあえず今はどこかに逃げるしかないと考えた。
(大和の人達は、きっと僕のことを許さない。そ、そうだ。であれば力のある葛城の元に行こう)
眉輪の脳裏に葛城円が浮かんだ。彼なら自分を助けてくれるかもしれない。
それに葛城円の元なら、子供の自分でも歩いて行けなくもない。
眉輪はそう思うと、慌ててその場を後にし、葛城円の元に向かうことにした。
穴穂大王の寝床から眉輪が慌てて出ていくのを見た、宮の使用人の男は不振に思い、大王の元に行ってみることにした。
そして大王が死んでいるのを目にし、余りのことにその場で大声を発した。
「あ、穴穂大王ー!!」
その瞬間に宮は大騒ぎとなる。宮の使用人達が大王の部屋を確認した所、大王を斬った飾大刀にたくさん血が付いており、それが子供の手の形のように見えた。
そして先程、眉輪が慌てて大王の元から逃げて行くのを使用人の男が見ている。そのため穴穂大王を殺したのが、眉輪ということも分かってしまった。
それを知った中磯皇女は、余りのことにその場で気を失ってしまう。
また眉輪は既に宮から逃げていたため、既に行方が分からなくなっていた。
そこで宮の者達は、すぐさま遠飛鳥宮にこの件を伝えることにした。