大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾 】
大泊瀬皇子の訪問
「あぁ、父上が体調を最近崩しやすくてな。俺は昔葛城には良く来ていたから適任だった」
大泊瀬皇子は4年ぶりに会ったと言うのに、至って普通に彼女に話しかけてきた。4年前に比べて、彼は背もかなり延びていて、少し凛々しさも感じられた。
この4年間で、彼自身も大きく成長したのかもしれない。
(まさか大泊瀬皇子が今日の代理だったなんて、全く想像してなかったわ)
「大和から今日代理で来られのは大泊瀬皇子だったのですね……雄朝津間大王が体調を崩しやすい話しは聞いてます。父も大王の体調は心配だと言ってましたから」
葛城円は日頃から、大和の話しを良く韓媛に話すようにしていた。本来姫にそこまでする必要はないが、韓媛自身が政り事に関心があり、何かの役に立つ事もあるのではと彼は考えていた。
「あぁ、父上の事は先ほど円と話している際も聞かれた。まぁ、安静にはしてるのでそれ程でもないがな」
韓媛はそれを聞いて少し安心した。大王の体調不良は、彼の家臣や他の豪族達からしても気がきでない。
(とりあえず、雄朝津間大王が安静にされてるようで安心したわ。大和は今、木梨軽皇子と軽大娘皇女の件の事で色々大変なはず……)
「それを聞いて安心です。父との話しはもう済まれたのですか?」
元々彼はこの場所をとても気に入っていた。父親との話しが終わって、それで来ていたのであろう。
「あぁ、先程な。ここは俺も元々気に入っていて、それで少し懐かしくなって来てみた」
彼はそう言って、この木をとても懐かしそうにして見ていた。この木は皇子と韓媛にとってはとても思い出のあるものだ。
(この木を見つめる皇子は、とても少年のような顔ね。それは当時と変わってないわ)
「本当に、皇子とはここで色々遊びましたものね。追いかけっこや、かくれんぼなんかして……あとは、変ないたずらにも付き合わされたりして」
韓媛はふと当時の事を思い出し、口に手を添えてクスクス笑った。
大泊瀬皇子は一緒に来ていた大和の大人達にもいたずらして、よく怒られていた。でも彼はそれでもめげずに、韓媛に『また今度続きをやろう』とまで言っていた。
「そうだったな。俺も流石に今はそんな悪さはしないが……
それに、お前だっておれが見つけて捕まえようとしたら、いつも上手く交わしていたな。まるで触れてしまったら消えてしまうかのように」
彼はそう言いながら韓媛を見た。彼女もこの4年間で少し背も伸びて、前より少し大人びたなと思った。父の円の話しでは、最近は政り事にも関心を持っていると聞き、そこら辺はやはり親子だなと彼は思う。
それを聞いた韓媛は、少し愉快そうにしながら彼に言った。
「まぁ、そう上手くして逃げないと、遊びにならないでしょう。皇子の方が力があるのだから、女の私が逃げるとなると、それなりに考えます」
韓媛も4年ぶりに会ったにも関わらず、こうも気軽に彼と話しが出来ているのが、何とも不思議な感じがする。
大泊瀬皇子は4年ぶりに会ったと言うのに、至って普通に彼女に話しかけてきた。4年前に比べて、彼は背もかなり延びていて、少し凛々しさも感じられた。
この4年間で、彼自身も大きく成長したのかもしれない。
(まさか大泊瀬皇子が今日の代理だったなんて、全く想像してなかったわ)
「大和から今日代理で来られのは大泊瀬皇子だったのですね……雄朝津間大王が体調を崩しやすい話しは聞いてます。父も大王の体調は心配だと言ってましたから」
葛城円は日頃から、大和の話しを良く韓媛に話すようにしていた。本来姫にそこまでする必要はないが、韓媛自身が政り事に関心があり、何かの役に立つ事もあるのではと彼は考えていた。
「あぁ、父上の事は先ほど円と話している際も聞かれた。まぁ、安静にはしてるのでそれ程でもないがな」
韓媛はそれを聞いて少し安心した。大王の体調不良は、彼の家臣や他の豪族達からしても気がきでない。
(とりあえず、雄朝津間大王が安静にされてるようで安心したわ。大和は今、木梨軽皇子と軽大娘皇女の件の事で色々大変なはず……)
「それを聞いて安心です。父との話しはもう済まれたのですか?」
元々彼はこの場所をとても気に入っていた。父親との話しが終わって、それで来ていたのであろう。
「あぁ、先程な。ここは俺も元々気に入っていて、それで少し懐かしくなって来てみた」
彼はそう言って、この木をとても懐かしそうにして見ていた。この木は皇子と韓媛にとってはとても思い出のあるものだ。
(この木を見つめる皇子は、とても少年のような顔ね。それは当時と変わってないわ)
「本当に、皇子とはここで色々遊びましたものね。追いかけっこや、かくれんぼなんかして……あとは、変ないたずらにも付き合わされたりして」
韓媛はふと当時の事を思い出し、口に手を添えてクスクス笑った。
大泊瀬皇子は一緒に来ていた大和の大人達にもいたずらして、よく怒られていた。でも彼はそれでもめげずに、韓媛に『また今度続きをやろう』とまで言っていた。
「そうだったな。俺も流石に今はそんな悪さはしないが……
それに、お前だっておれが見つけて捕まえようとしたら、いつも上手く交わしていたな。まるで触れてしまったら消えてしまうかのように」
彼はそう言いながら韓媛を見た。彼女もこの4年間で少し背も伸びて、前より少し大人びたなと思った。父の円の話しでは、最近は政り事にも関心を持っていると聞き、そこら辺はやはり親子だなと彼は思う。
それを聞いた韓媛は、少し愉快そうにしながら彼に言った。
「まぁ、そう上手くして逃げないと、遊びにならないでしょう。皇子の方が力があるのだから、女の私が逃げるとなると、それなりに考えます」
韓媛も4年ぶりに会ったにも関わらず、こうも気軽に彼と話しが出来ているのが、何とも不思議な感じがする。